奇跡はこれで ジョセフHC アイルランド戦は先発4人入れ替え リーチ主将は切り札待機

[ 2019年9月27日 05:30 ]

ラグビーW杯1次リーグA組   日本―アイルランド ( 2019年9月28日    エコパ )

アイルランド戦のメンバー発表を行うジョセフHC(撮影・久冨木 修) 
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 ラグビー日本代表は26日、浜松市内で1次リーグA組第2戦のアイルランド戦(28日、エコパ)の登録メンバー23人を発表し、フランカーのリーチ・マイケル主将(30=東芝)は控えに回ることが決まった。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、49)はキック対策のため、昨秋からFBに定着していた長身のウィリアム・トゥポウ(29=コカ・コーラ)を左ウイング(11番)に回し、FB山中亮平(31=神戸製鋼)との併用を決断。番狂わせを起こすべく、勝負の一手に出る。

 1次リーグ最大の難所を、過去に例のない23人のメンバー構成で挑む。20日の開幕ロシア戦からは先発4人を変更。FW第3列はリーチの代わりに右肩を痛めていたNo・8マフィが入り、バックスリーにはともに1メートル88でバックス最長身のトゥポウと山中が並んだ。

 会見に臨んだジョセフHCは、まずリーチのリザーブ待機について「リーチは主将だが、我々が目標を達成するためには経験値のあるリザーブが必要。残り5分、10分で落ち着きが必要になる。リーチはインパクトを与えてくれると思う」と説明した。スタメン落ちではなく、あくまで切り札としての温存が理由。「非常にいいルースFW(第3列)」という姫野、ラブスカフニ、マフィの強力トリオがいるからこそ、リーチを控えに回す、ぜいたくな起用法が実現した。

 トゥポウ、山中の併用は、ハイパントを多用する相手を意識したのは明らかだ。WTBストックデールは1メートル91、FBカーニーは1メートル87と高く、その対抗策でもある。ジョセフHCも「キックでプレッシャーをかけてくるので、体格の大きなウイングが必要」と説明。CTBから昨秋FBに転向したトゥポウに、代表でのウイング経験はない。ただ、サンウルブズでは18年3月の2試合に11番で先発。本人も「新しい試みではない」と、問題なしを強調した。

 もちろん“ぶっつけ布陣”には多くの不安も残る。指揮官の指示が直接選手に届かないラグビーでは、試合を左右する局面で判断を下す主将の役割は重要。通算64キャップ、W杯3大会連続出場のリーチと同4キャップ、初出場のラブスカフニの経験の差は明らかで、ラブスカフニは日本語もまだ拙い。トゥポウも開幕戦ではキック処理のミスで最初のトライを許しており慣れないポジションでの先発は未知数だ。

 指導者としては初のW杯だが、選手としては2度経験し、15年にはスーパーラグビー制覇も果たしている百戦錬磨の勝負師。「自分たちにフォーカスしている。チームも選手もエキサイトしている」というジョセフHCが打った勝負手を、選手も信じて世界ランク2位に立ち向かう。(阿部 令)

 ○…フランカーのラブスカフニが日本代表デビュー戦となった7月27日のフィジー戦以来となるゲーム主将を務める。W杯でのチーム統率は未経験ながら、今春は準代表のウルフパックでゲーム主将を務め、開幕ロシア戦では立った状態で相手ボールを奪い、55メートルを走り抜くトライも記録。人望も厚いボールハンターは「ゲーム主将は本当に光栄で名誉。ただリーチの役割は大きく、代役を務めるにすぎない」と謙虚に話し、「プランはある」と金星を予告した。

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2019年9月27日のニュース