伏見クラブジュニア 初の全国舞台へトライ!吉田主将「スピードと運動量で勝負」

[ 2019年9月13日 05:30 ]

太陽生命カップに向け気合が入る伏見クラブジュニアの選手たち
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 醍醐から世界へ―

 京都市伏見区醍醐にあるラグビースクール・伏見クラブジュニアが、太陽生命カップ「第10回全国中学生ラグビーフットボール大会」(14日開幕・水戸市)に初出場する。関西予選で3位となり、チーム創立3年目、京都のスクールとして初めて全国大会へのキップをつかんだ。

 14日から始まる大会を前に12日、伏見区のグラウンドで関係者、保護者が集まり壮行会が行われた。FBとしてチームを引っ張る吉田雅(みやび)主将(小栗栖中3年)は「目標は日本一です。スピードと運動量で勝負します」と力強く言い切った。初戦の相手は第3回大会で優勝している九州地区1位の、かしいヤングラガーズ(福岡)。強豪が相手だけに、自然と気持ちは高ぶる。

 伏見クラブジュニアは伏見工(現京都工学院)ラグビー部OBが中心となって設立された「NPO伏見クラブ」が運営するスクール。指揮するのは伏見工が2度目の全国優勝を飾った時の主将、坪井一剛氏(45)だ。

 醍醐地区自治会の協力のもと、地域の子どもたちを見守る活動の一環として、2017年4月に誕生した。

 この地域では夜遅くまで働く環境の家庭が多く、子どもたちだけで留守番をすることも少なくなかった。そんな中、ラグビーを通じて人間教育できればという考えが自治会と一致した。地域密着のチームだけに、ほとんどの部員が醍醐地区在住。地元の保護者からは「欲しがるものがゲームソフトから、ラグビー用品に変わった」「よくご飯を食べるようになって、夜も早く寝るようになった」など、嬉しいコメントが届いた。

 1週間の練習は、平日3回と週末1回の4回。平日の練習は午後6時から8時。そんな環境の中で生徒たちは大きく成長した。坪井監督の教えはこうだ。「このチームは自主性を重んじています。ラグビーの持つ自由な雰囲気を大事にしています」。子どもたちの言葉は「何をしたらいいですか」から「何をしたい」に変わりだした。「ジュニアのメンバーから日本代表が誕生して世界で活躍して欲しいですね」。選手を見つめる監督の目は優しい。

 中島淳コーチ(48)は「僕たちは山口(良治)先生に、人に必要とされる人間になれと教わってきました。仲間のためにどれだけ頑張れるか。いつも洗濯してくれるお母さんのためにでもいいんです。それをこの子たちに伝えているだけです」と言う。

 自営業の坪井監督はチーム運営のために、仕事時間を午前5時半からの始業とし、中島コーチはサラリーマンだが、会社の理解と応援を得て指導する。さらに中型免許の限定解除を取得し、週末は2台のマイクロバスを借りて練習試合に選手を運ぶ。年間のノルマは100試合以上にしている。

 いよいよ始まる全国大会。坪井監督は関係者を前に「いい結果を出してくれると信じています。(参加スクール)8チームの中で一番小さいチームですが、選手たちは勝つことが皆さんへの恩返しと思って頑張ってきます」と約束した。13日、選手たちは坪井監督と中島コーチが運転するマイクロバスに乗り込み、戦いの地に入る。

 ◆NPO伏見クラブ 伏見工(現京都工学院)ラグビー部の創部50周年をきっかけにOBを中心に、地域へのスポーツを通じた社会貢献を目指したラグビーチームとして2010年4月に、小学生を対象とした「おおぞら少年少女」の運営からスタート。17年4月から中学生を対象とした「伏見クラブジュニア」の活動も開始。現在、小学生のスクール生は約80人、中学生は45人。小学生の練習は日曜日のみで、中学生は月、水、金と週末の4回。主に伏見区で練習している。代表理事は坪井一剛氏(伏見工92年度卒)。

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