白鵬 日本国籍取得 引退後に親方資格獲得「強いお相撲さん育てる」

[ 2019年9月4日 05:30 ]

日本国籍を取得し、取材に応じる横綱白鵬
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 史上最多42度の優勝を誇るモンゴル出身の第69代横綱・白鵬(34=宮城野部屋)が日本国籍を取得した。3日付の官報で告示された。日本名はしこ名と同じ「白鵬翔」。国籍取得により、現役引退後に親方として日本相撲協会に残ることが可能となった。白鵬はこの日、指導者となることへの意欲を示した。

 今年に入って日本国籍取得に動いていた大横綱に吉報が届いた。6月下旬にモンゴル国籍離脱が認められてから約2カ月半。東京都墨田区の宮城野部屋での朝稽古を終えた白鵬が思いを口にした。
 「やっとというか、正式に本日をもって、白鵬翔として日本国籍を獲得することができました」。言葉を選びながら、本名のムンフバト・ダバジャルガルから、しこ名と同じ日本名になったことを明かした。

 00年に15歳で来日し、01年春場所で初土俵を踏んだ。そこから18年。「相撲一筋でやってきたことが今日につながったと思います」。昨年死去した父ムンフバトさんはメキシコ五輪レスリング銀メダリストでモンゴルの英雄。そういう経緯もあって国籍変更を悩んだこともあったが、父の「我が道を行け」の言葉に背中を押された。

 国籍取得により、引退後に親方となる資格も得た。「今までは自分が相撲を取ることで頭がいっぱいだったけど、これから別の道ができる。強いお相撲さんを育てることが一つの恩返しだと思う」と指導者になることへの意欲を示した。

 これまでも自らスカウトした力士を宮城野部屋へ入門させ、石浦、炎鵬らは関取になった。現役ながら指導力の高さには定評がある。加えて、優勝回数、通算勝利など、数々の最多記録を誇る実績がある。相撲協会は著しい功績を残した横綱に対し、引退後に現役名のまま親方になれる「一代年寄」を授与する例がある。日本国籍取得を実現させた大横綱は、大鵬、北の湖、貴乃花に次いで一代年寄になる可能性も出てきた。

 ▽年寄名跡襲名の条件 力士が現役引退後に日本相撲協会に残って親方になるには、年寄名跡が必要となる。「年寄名跡及び相撲部屋の親方・継承規定」には「年寄名跡の襲名は、日本国籍を有する者に限る」と明記されている。その上で「横綱・大関」「三役1場所以上」「幕内通算20場所以上」などを満たさなければならない。105の年寄名跡のほか、顕著な功績を残した力士には、その個人に限り年寄とする「一代年寄」が与えられる場合がある。過去に大鵬、北の湖、貴乃花に贈られた(千代の富士は辞退)。年寄名跡を持たない場合でも、横綱経験者は5年、大関経験者は3年、しこ名のまま年寄を名乗ることができる。一代年寄、しこ名のままの年寄も日本国籍を有していなければならない。

【国籍取得得】
 Q 日本国籍を取得するための条件は。
 A 引き続き5年以上日本に住んでいることが基本的な条件。素行に問題ないことも重要で、交通違反なども判断材料になります。小学生低学年程度の国語力なども求められ、取得が認められるまで1年ほどかかります。
 Q 日本国籍を取得したことで得られるメリットは。
 A 日本人の名前を持てるほか、参政権(選挙権、被選挙権)を得ることができます。また、社会保障面でも年金、保険、福祉など日本人と同じ権利を持ちます。日本のパスポートを持てるので、海外渡航手続きも容易になります。
 Q 日本国籍を得ることのデメリットは。
 A 日本では二重国籍が認められていないため、再び母国の国籍を取得するのは簡単ではありません。母国へ行く場合に査証が必要になりますが、日本のパスポートはビザなし渡航が可能な国が多いので比較的問題は少ないです。

 

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