“スマイルシンデレラ”渋野 堂々首位、後半猛チャージ

[ 2019年8月5日 05:30 ]

米女子ゴルフツアー AIG全英女子オープン第3日 ( 2019年8月3日    ミルトンキーンズ ウォバーンGC=6756ヤード、パー72 )

全英女子オープン最終日 1番で笑顔の渋野(撮影・沢田 明徳)
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 第3ラウンドが行われ、2位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)は7バーディー、2ボギーの67で回り、通算14アンダーで単独首位に立った。2位のアシュリー・ブハイ(30=南アフリカ)とは2打差。一時は首位と6打差の6位まで後退するも後半に6バーディーを奪いリーダーボードのトップに躍り出た。海外初挑戦の“スマイルシンデレラ”が、77年全米女子プロを制した樋口久子以来42年ぶりの日本勢メジャー制覇に王手をかけた。

 勢いが止まらない。単独首位に立った渋野が18番のグリーンに上がると、英国のギャラリーから大きな拍手が湧き起こった。笑顔で頭を下げながら、その声援に応える。2位と2打差の単独首位でメジャー制覇の偉業に王手をかけた。

 「今日が日曜日であれ!って思ったけど、日曜日じゃなかった~。正直、ここまで伸びるとは思っていなかった。この位置なら優勝を狙わないと」

 首位と3打差2位からスタート。前半は1オーバーとスコアを落とした。9番で3パットのボギーとし、「3パットでボギーを打つのが一番嫌い。ブチッときた」。首位と6打差の6位まで後退した。

 だが、ここから強かった。10番でティーショットを「怒った状態」でフルスイング。第2打をピン右3メートルにつけてバーディーを奪った。ここで「すっきりした」。普段の笑顔が戻ると、バーディーラッシュが幕を開けた。12、14、15番と伸ばして迎えた16番でブハイが落として首位に並ぶ。17番で4メートルを沈めて単独首位に立つと、18番も1メートルに寄せてバーディーで終えた。

 17番から18番に向かう途中では、7歳の男の子から話しかけられた。使っていた手袋にサインをしてプレゼント。さらに、一緒に写真に納まり「他の国から来た、よく分からない人が最終組で回っていて“グローブプリーズ”って言われたらあげますよ。だって、うれしかったもん」。メジャーという大舞台でも、いつもと変わらず自然体。そんなところに渋野の強さがある。

 今大会を前に、強い思いを抱いていたのが東京五輪。2勝目を挙げてからは、毎週世界ランクをチェックしてきた。「この試合で上位に入ることでランクは上がる」。当初楽しみにしていたのは小学生の頃ゴルフと並行して取り組んでいたソフトボールの観戦。チケットが入手できず「自分が出て、選手に会う!」というモチベーションもある。

 メジャー優勝となれば、樋口久子以来42年ぶりとなる。「樋口久子さん以来?ヤバい!吐くくらい緊張すると思うけど、攻めていきたい」。快挙を目前にしてもシブコ節全開だった。

 ◆渋野 日向子(しぶの・ひなこ)1998年(平10)11月15日生まれ、岡山市出身の20歳。作陽高卒。8歳からゴルフを始める。2度目挑戦の昨年のプロテストで合格。今年5月のメジャー大会、ワールドレディース・サロンパス・カップでツアー初優勝。7月に2勝目を挙げた。世界ランク46位、国内賞金ランク2位。1メートル65、62キロ。

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