渋野日向子 Vの瞬間、顔隠すも涙出て来ず「なんじゃそれ」

[ 2019年8月5日 08:02 ]

米女子ゴルフツアー AIG全英女子オープン最終ラウンド ( 2019年8月4日    ミルトンキーンズ ウォバーンGC(6756ヤード、パー72) )

<全英女子オープン最終日>優勝トロフィーをキスする渋野日向子(撮影・沢田 明徳)
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 海外メジャー最終戦のAIG全英女子オープン最終ラウンドが4日に行われ、単独首位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)が7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算18アンダーでメジャー初優勝。77年全米女子プロを制した樋口久子以来42年ぶりとなる、日本人史上2人目のメジャー制覇を達成した。

 やっぱり“スマイルシンデレラ”だった。すでにホールアウトしていたサラス(米国)と通算17アンダーで並んで迎えた最終18番。5メートルのバーディーパットを沈めてメジャー優勝を決めると、パターを高く突き上げた。左手で顔を隠して涙をこらえた…、かのように見えたが「泣きそうになるかなと思ってこうやってやったら、全然出てこなかったです。なんじゃそれみたいな」。渋野らしい笑顔で、42年ぶりの偉業を成し遂げた。

 「やっちゃいましたね、本当に。なんで勝っちゃったんですかね。本当にいらんことしてしまった!あははははは」

 攻めに攻めた最終ラウンドだった。2位と2打差の首位からスタート。しかし、イーブンパーで迎えた3番で4パットのダブルボギーをたたく。「4パットは自分が攻めた結果。結構オーバーしちゃいましたけど、あの距離も打ち切れたので仕方ないなと。でも、段々悲しくなってきました」。ここで2位に後退。だが、すぐに気持ちを切り替えられる強さがあった。

 会場を湧かせたのは12番。ティーイングエリアが前に設定され、253ヤードのパー4となった。同組のブハイ(南アフリカ)が2オンを狙う中、渋野が手に取ったのは1Wだ。「そこでドライバーを持たなかったら悔いが残るなと思った」。グリーンは池の奥にあり、リスクのあるチャレンジ。ぎりぎり手前のカラーに着弾させ、2パットでバーディーを奪った。

 そして圧巻は最終18番パー4。ティーショットをフェアウエーに置き、グリーンが空くのを待っている間にキャディーを務める青木翔コーチと話しをした。「プレーオフしたくないから、ロングパットになったらわざと3パットします」。それだけ腹を決め、残り164ヤードの第2打でピンを攻めた。5メートルのウイニングパットも強気で打ち「最後も強気で壁ドンで入ったんで、やり切ったー!」と声をはずませた。

 最初から最後まで笑顔。初めて訪れた英国の地で“スマイルシンデレラ”と名付けられた20歳が、シンデレラストーリーを最高の結末で完結させた。

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