高橋尚子さん「私の人生は監督なしでは語れない」 恩師・小出氏悼み涙

[ 2019年4月26日 19:30 ]

胸に喪章をつけ、目に涙を浮かべる高橋尚子さん
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 00年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さん(46)が26日、28日に「高橋尚子杯 ぎふ清流ハーフマラソン」が開催される岐阜市内で取材に応じ、24日に死去した女子陸上長距離の名指導者、小出義雄さん(享年80)との思い出を語り涙を流した。

 「高校、大学時代と強い選手じゃなく、弱い私の時から見放さずにいてくれた。今があるのも監督のおかげ。私の人生は監督なしでは語れないので、感謝の気持ちでいっぱいです」

 そう語った高橋さんは、99年8月にセビリアで開催された世界陸上選手権でレース直前に左膝を痛めて欠場した時の思い出を振り返った。

 「セビリアの時、自分自身では一番悔しい時期でした。もう見放されてしまう、これだけ監督のことを数カ月も独占してきたのに。そう思っていた中で監督が、元気になる、前を向く言葉を掛けてくれました」

 「“今、8合目まで山を登ってきたんだけど、吹雪になった。このまま登っても、頂上から見える景色は吹雪だ。人には心配させるし、命を落とすかもしれない。自分の満足だけで登ることを決めるんじゃなくて、一回ここは降りて、もっと大きな山を登らせてやるから”と。もっと大きな山はひとつしかない。オリンピックに連れて行ってくれる。その言葉が私を前を向かせてくれた。それで、前に進むことができた」

 翌年3月の名古屋国際女子マラソンで優勝し、シドニー五輪の出場切符を獲得。そして、日本女子陸上界で史上初めてとなる五輪での金メダルをつかんだ。小出さんの言葉が、現実になった瞬間だった。 

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