紀平 女子SP歴代世界最高83・97点「今季一番」

[ 2019年4月12日 05:30 ]

フィギュアスケート 世界国別対抗戦第1日 ( 2019年4月11日    福岡市・マリンメッセ福岡 )

ほぼ完璧な演技で女子SP1位となった紀平(撮影・長久保 豊)
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 女子ショートプログラム(SP)で紀平梨花(16=関大KFSC)が自身の持つ世界最高得点を塗り替え、83・97点を出した。武器のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が、今季「1番」という会心の出来。SP1位で12点を獲得し、48点で2位発進をした日本チームに大きく貢献した。男子SPでは宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が92・78点で3位に入った。米国が50点で首位に立った。

 シーズンの最後にまた大きなことをやってのけた。紀平が自らが持つSPの世界最高得点を1・46点更新し、83・97点を出した。キスアンドクライでは、仲間に囲まれた。お祭り騒ぎのような雰囲気は団体戦ならでは。浜田美栄コーチ(59)は毛筆で「よくやった」と書かれた紙を持って称えた。文字通りの好演技だった。

 「今まで試合で笑顔がなかったけど、(最後のジャンプの)3回転ルッツを降りて、本当の笑顔が出せた」

 本番の6分間練習では、代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)でミスを連発した。2回も転倒した。しかし、慌てなかった。今季、課題としてきたSPだったが最後の最後でスケート靴の調整に時間を費やした経験が生きた。

 「靴をいったん脱いで(補強の)テープを強く巻き直した。ギリギリセーフだった」

 SP曲「月の光」が流れると、いい意味で動きが別人になった。最初の大技は「一番いいアクセルができた」と2・86点もの出来栄え点を引き出す。演技後は小躍りするように氷上を跳ねて歩いた。

 3月の世界選手権は4位だった。22年北京五輪で金メダルを獲るために、シーズンオフに新しい取り組みを考えている。週2回の英会話レッスンを受講する計画。言葉を理解できれば、外国人指導者や振付師のアドバイスを、より吸収できる。リンク外から世界一への布石を打つ。

13日の女子フリーへ「1日空くので、できるだけジャンプに集中したい」と気を引き締めた。ザギトワ(ロシア)が持つフリーと合計の記録を塗り替え、3部門で世界最高得点へ――。これ以上ない形でシーズンを締めくくることも、決して不可能ではない。

 《坂本も自己新3位 紀平と抱き合った》坂本も会心の演技で3位に入り、右拳を天に突き上げた。世界選手権の76・86点を上回る自己新記録の76・95点を叩き出した。全てのジャンプを滑らかに決め、演技構成点では全体トップの36・00点をマーク。演技後は紀平と歓喜の抱擁を交わした。いつもは緊張をごまかすように笑うが、この日は緊張せず“ゾーン”に入った。「顔は死んでたけど、気持ちは落ち着いてできた。めっちゃ集中していて、顔のことまであまり気にしていられなかった」と振り返った。今月から神戸学院大に進学し、9日に19歳となった坂本は「スタートダッシュは良かった」とうなずいた。

▽世界国別対抗戦 各チームは男女各2選手、ペアとアイスダンスはそれぞれ1組で構成。各種目のSP、フリーで、ポイント(男女は1位12点…12位1点、ペアとアイスダンスは1位12点…6位7点)を獲得。SP、フリーごとに区切り、合計得点での順位は換算されない。各出場者(組)の得点はISU公認記録となる。

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