挑戦者だけに許される抱擁…田中は宇野に背中を押されて4回転トーループ成功

[ 2019年4月12日 22:49 ]

フィギュアスケート世界国別対抗戦第2日 ( 2019年4月12日    マリンメッセ福岡 )

<世界国別対抗 男子フリー>今季の競技を終え穏やかな表情を見せる田中刑事(撮影・長久保 豊)
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 挑戦者同士だから通じ合える。田中刑事(24=倉敷芸術科学大大学院)は、キスアンドクライに引き揚げて来た宇野昌磨(21=トヨタ自動車)と抱擁した。

 田中は迷っていた。演技前の6分間練習。4回転トーループを最後に成功したら本番に跳ぼうと考えていた。しかし、失敗。踏ん切りが付かないまま、スタートポジションに入った。2本目のジャンプ。弱気の虫が顔を出しかけたが、跳ぶ寸前に腹をくくり、挑んだ。

 背中を押したのは、チームメイトの存在だ。宇野は今大会、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)―4回転トーループを入れた超高難度プログラムに取り組んでいた。転倒しても何度も挑む姿を目にしてきた。

 「昌磨は今回の試合でチャレンジ精神が強い。4回転トーループをやるつもりはなかったけど、自分でも悪あがきをしてみた」
 「悪あがき」は、成功を収めた。その後、ミスがありながらも、迫真の演技をした。見る側に伝わった。「ウィリアム・テル序曲」の曲調がリズミカルなパートに入ると、場内が大きく盛り上がった。歓声を浴びながらフィニッシュした。

 直後に滑るのが、宇野だった。感謝に似た思いを込めて送り出した。

 「会場をあたためて渡せて良かった」

 169・79点は今季ベスト(6位)。報道エリアに来た表情は吹っ切れていた。

 「最後に試合で(4回転)トーループを跳べた。自信を持って次のプログラムづくりをしたい」

 今回跳べたことで、サルコー2本、トーループ1本、計3本の4回転ジャンプを次のシーズンに考えている。チャレンジャーの後輩に刺激を受け、手にした成功体験。来季への希望の光になる。

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