NFLドラフトで左手の指がない選手が指名される 双子のグリフィン兄弟歓喜

[ 2018年4月29日 11:20 ]

シーホークスに5巡目で指名されたシャキーム・グリフィン(右端)と兄のシャキール(中央=AP)
Photo By AP

 NFLドラフトは28日、テキサス州アーリントンで4巡目から最終7巡目までの指名を行い、シーホークスは5巡目(全体141番目)でセントラル・フロリダ大のアウトサイド・ラインバッカー(OLB)、シャキーム・グリフィン(22)を指名した。

 グリフィンは母タンジーさんの胎内で羊膜が絡みつき(羊膜索症候群)、その影響で左手の指が不完全な状態で生まれた。痛みを伴ったために4歳で不ぞろいの指先を含めた手の甲の半分を切断。それでも双子の兄シャキール同様に陸上や野球、そしてフットボールの選手として活躍し、セントラル・フロリダ大ではOLBとして活躍した。

 同大学は昨季13戦全勝で、ピーチボウルではオーバーン大を34―27で撃破。そのボウルゲームでディフェンス部門のMVPとなったのがグリフィンだった。

 兄のシャキールも同大学のコーナーバック(CB)で、昨年のドラフトではシーホークスが3巡目(全体90番目)で指名。ひと足早くNFL入りを果たしていた。

 しかし弟のシャキームに関しては左手のハンディキャップもあってNFL側は当初、ドラフト候補生の運動能力テストとなる「コンバイン」に招待しなかった。

 そこでシャキームは自主的に参加。1メートル83、103キロというサイズはNFLのOLBとしては小柄だが、40ヤード走でラインバッカ―としては史上最速タイムとなる4秒38をたたき出して一躍、注目を集めることになった。

 それでも1巡目指名が行われた26日、2巡目と3巡目指名の27日には名前を呼ばれず、会場となったAT&Tスタジアムでずっと待機。そして3日目となった28日、ようやく自分の名前がコールされ、兄と同じシーホークス入りが決まった。

 会場からは大歓声が沸き起こり、檀上に兄とともに上がったグリフィンは「人生で一番驚いた瞬間。指名された数少ない選手の1人になれてとてもうれしい」と感無量の面持ち。もちろん開幕ロースターに入るには夏に始まるキャンプとプレシーズン・ゲームの成績と内容次第だが、困難な状況を克服してきた22歳の若者が、この日は指名された全選手の中で“時の人”となった。

 ◆羊膜索症候群(Amniotic Band Syndrome) 胎盤の羊膜がなんらかの影響で傷ついてひも状(索状物)になり、胎児の頭部や四肢に絡みついて奇形を引き起こす症状。妊娠初期における羊膜の裂傷などが原因とされている。

続きを表示

この記事のフォト

2018年4月29日のニュース