大鵬孫・納谷 瞬殺デビュー 新序出世披露へ祖父の化粧まわし継ぐ

[ 2018年1月17日 05:30 ]

大相撲初場所3日目 ( 2018年1月16日    東京・両国国技館 )

朝東を突き出しで破った納谷(右)
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 新弟子らによる前相撲がこの日から始まり、元横綱・大鵬(故人)の孫の納谷(17=大嶽部屋)が完勝で白星デビューを飾った。1メートル88、166キロの体格を生かし、朝東(高砂部屋)を一方的に突き出した。同じく前相撲に臨んだ元横綱・朝青龍のおい、豊昇龍(ほうしょうりゅう、18=本名スガラグチャー・ビャンバスレン、立浪部屋)も勝利。大物新人2人が、期待通りの船出をした。

 家柄に恥じない勝ちっぷりで、プロの一歩を踏み出した。史上2位の優勝32回を誇る大横綱・大鵬を祖父に持ち、父が元関脇・貴闘力の納谷が前相撲で圧巻のデビュー戦を見せた。

 「国技館の土俵は何回か(アマの)大会でやったことがあるけど、雰囲気がちょっと違って緊張した。最初の相撲で勝ったことはうれしい」

 一方的な2秒余りの電車道に、逸材の片りんが見えた。1メートル88、166キロの恵まれた体格を生かし、朝東を突き3発で土俵の外へ持っていった。それでも「今日はちょっと腰が高かったと思います」と冷静に自分の相撲を分析するところも、心憎い。

 入門前は高校相撲界の強豪、埼玉栄で活躍し国体の個人と団体で優勝。鳴り物入りで「大鵬道場」の看板が掲げられている大嶽部屋に入門した。大器なのは分かりきっているが、特別扱いは一切ない。師匠の大嶽親方(元十両・大竜)は「みんなと一緒。トイレ掃除もさせるし」と、力士として一から育てる方針だ。

 この日は朝青龍のおい、豊昇龍もデビューとあって、前相撲では異例の約30人の報道陣が集結した。前夜に、この状態を予期した師匠は「明日は凄いことになるぞ」とプレッシャーをかけたが、さすが大物。「ぐっすり眠れました」と、全く動じなかった。

 注目されることにも慣れている。「ありがたいこと。期待に応えたい」と堂々とした受け答えも“名家”出身らしかった。

 この日、サプライズで観戦した母の納谷美絵子さんは中日に行われる新序出世披露で締めさせる化粧まわしを決めている。多くの化粧まわしを所持した大鵬。展示品などもあるが、使用可能なものが北海道で見つかっており美絵子さんは「大鵬の文字が入っているし、取り寄せる」と話した。

 偉大な祖父は14場所目で新十両昇進を果たした。納谷はまずはそこを目安に、前に進む。

 ▼父・鎌苅忠茂氏(元関脇・貴闘力)みんなに注目してもらって、マスコミにも取り上げてもらってありがたいですね。でも、まだまだこれから。やらなきゃいけないことはたくさんあります。

 ▽新序出世披露 場所前の新弟子検査に合格した力士は前相撲を取る。一定の成績を挙げれば「新序」となり翌場所に序ノ口の番付に載る。この力士を紹介するのが新序出世披露で通常は8日目の三段目の取組途中に行われる。「就職場所」と呼ばれる春場所は新弟子検査の受検者が多いため5日目に「一番出世」、9日目に「二番出世」、12日目に「三番出世」と分割して行われる。新序力士は親方や兄弟子らの化粧まわしを借りて出世披露に臨む。

 ◆納谷(なや、本名・納谷幸之介=なや・こうのすけ)2000年(平12)2月14日、東京都江東区生まれの17歳。元横綱・大鵬の三女・納谷美絵子さんと元関脇・貴闘力の鎌苅忠茂氏との間に生まれた三男。埼玉・大宮西中から埼玉栄高の相撲部に進学。17年の愛媛国体では少年の部で団体、個人で優勝した。得意は押し。長男・幸男は昨年9月にプロレスデビュー。次男・幸林(たかもり)は、中大相撲部で活動中。四男の幸成(こうせい)も現在、埼玉栄高相撲部。

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