【松岡修造の目】圭、唯一のミスゲーム…寝ていた相手が目覚めた

[ 2016年9月11日 05:30 ]

<全米オープンテニス>力を振り絞ってボールに食らいつく錦織圭

全米オープン第12日男子シングルス準決勝 錦織6―4、5―7、4―6、2―6バブリンカ

(9月9日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 寝た子を起こしてしまった。試合のキーポイントとなったのは、第2セットの第4ゲームだった。第1セットを取った圭が先にブレークして2―1とリードしていた場面だ。

 それまでの圭はゆったりとしたボールや深いボールを使い、バブリンカに的を絞らせていなかった。いい形で集中ができていた。しかし、このゲームだけは心が変わって、少し打ち急いでしまった。フォアのミスにダブルフォールトもあって初めてブレークを許した。他にもブレークポイントは何度もあったが、それは圭の失敗ではなく、バブリンカのプレーが素晴らしかった。このゲームだけは圭のミス。集中力が乱れた。A・マリー戦の疲れが残っていたからこそ、ここで寝ていたバブリンカを起こしてはいけなかった。

 それでも今大会の圭は大きな階段を上ったと言える。技術的な課題はサーブ以外にない。サーブ&ボレーも多く見せたが、生粋のサーブ&ボレーの選手でないだけに、自分のゲームを崩してしまった部分もある。もちろん正しいタイミングでやることに問題はない。普通に考えれば、圭のあのゆっくりしたサーブでネットに出る勇気のある選手はいない。そこができるのは圭の凄さでもある。ただし、続けていけば相手にも読まれる。バブリンカ戦ももっとストロークでポイントを取らなければいけなかった。4大大会で優勝するにはサービスゲームをどうキープしていくか。そこを考えていってほしい。 (スポーツキャスター)

続きを表示

2016年9月11日のニュース