「マダム・バタフライ」68歳の別所キミヱ 3大会連続8強入り!

[ 2016年9月11日 05:30 ]

<リオパラリンピック>卓球女子シングルス(車いす5) リターンする別所

リオ・パラリンピック 卓球女子シングルス 1次リーグA組

(9月10日)
 卓球女子シングルス(車いす5)で、日本選手団最年長68歳の別所キミヱ(兵庫県立障害者スポーツ交流館)が1次リーグ2試合を戦い、1勝1敗で3大会連続の準々決勝進出を決めた。視覚障がい者による柔道では女子57キロ級の広瀬順子(25=伊藤忠丸紅鉄鋼)が銅メダルを獲得。04年アテネ大会から採用された柔道女子で日本初のメダルとなった。

 茶髪の編み込みには38個の蝶々の飾り。車いすにはカラフルな蝶々のシール。試合後、審判に年齢を聞かれ「シックスティーエイト」と答えると「アンビリーバブル」とあぜんとされたという。「マダム・バタフライ」の愛称で親しまれる68歳のド派手おばあちゃんが堂々のベスト8入りだ。

 初戦でロンドン大会金メダルの中国選手にストレート負けを喫したが、続く香港選手との一戦では気持ちを切り替えて、バックのラリーで相手にプレッシャーをかけた。フットワークがきかない車いすで、強烈なスライスを駆使して相手が届かないコースに球を落とす「嫌らしい卓球」が持ち味だが、この日は封印。「ラリーで勝っている時は変なことはしない」と正攻法で2ゲームをあっさり連取した。第3ゲームは10―8から3連続失点するピンチだったが、最後は相手のミスを誘って12―11で、ストレート勝ちし「よく集中できてましたね」と自賛した。

 42歳の時に腰の骨に腫瘍(仙骨巨細胞腫)ができて2度手術。下半身にはまひが残り、車いすでの生活が始まった。新聞記事でその存在を知り、リハビリのために45歳で始めたのが車いす卓球。パラリンピックは今回が4度目出場になる。

 もともと用具提供を受けた卓球用品メーカー「バタフライ」の宣伝を手伝うためにつけた蝶々の髪飾り。「球がひらひらと舞って相手コートに落ちるように」との思いも込める。今回38個にした理由は「うそのサンパチ。うそでいいから入ってくれってね。次は39個。勝たせてくれてサンキューです」と笑顔を見せた。

 どこまでも元気で明るい68歳。「この年でパラリンピックの試合をできるなんて、こんな幸せなことはない」。ばっちりメークの表情に充実感を漂わせた。

 ◆別所 キミヱ(べっしょ・きみえ)1947年(昭22)12月8日、広島県生まれの68歳。加計高卒。兵庫県明石市在住。04年アテネ大会から4大会連続出場。08年北京、12年ロンドンはいずれも5位。40歳の時、夫を病で亡くす。子供は2人、孫は3人。1メートル60、52キロ。

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