国枝、無敵の全仏V2!40万円でも1500万円を圧倒

[ 2015年6月6日 05:30 ]

車いすの部男子シングルスで勝利し、両手を突き上げ優勝を喜ぶ国枝

全仏オープンテニス第13日

(6月5日 パリ・ローランギャロス)
 車いすテニスの男子シングルスで、国枝慎吾(31=ユニクロ)が連覇を達成した。長年のライバルであるステファン・ウデ(44=フランス)を6―1、6―0と圧倒。大会6度目の優勝を飾り、優勝賞金2万8000ユーロ(約390万円)を獲得した。同女子ダブルス決勝では上地結衣(21=エイベックス)ジョーダン・ホワイリー(22=英国)組がオランダのペアに6―7、6―3、8―10で敗れた。

 クレーでも破格の強さを見せた。ライバルを全く寄せつけずに連覇を達成した国枝は、「赤土でも思う存分暴れられた」と両手を突き上げた。「今までのテニス人生で最も充実して、心技体がそろっている」と自信を深めた。

 「ハードコートよりも動きが制限される。半分とは言わないが、守備範囲は相当狭まる」というクレーでの戦い。その分、初期段階のサーブとリターンが重要になる。強化してきたサーブでコースを突き、鋭い読みから積極的にリターンエースを狙った。「ひと押し(のストローク)を長くした」と車いすのこぎ方も若干変えて対応した。

 ウデは地元での栄冠を狙って新兵器を投入してきた。座面を小さくし、下肢の自由度を高めた車いす。「打球の瞬間に両方の臀部(でんぶ)を座席から離してはいけない」というルールに抵触する可能性も指摘されているが、オールカーボン製で1500万円はする代物という。

 国枝は普段通りの40万円の車いす。しかも5月末のトルコでの国別対抗戦で空輸の際に車輪と車輪の間の支柱部分が破損した。試合に出場できず帰国し、溶接のため数日間練習ができなかった。

 それでも試合を重ねるごとに調子を上げ、準決勝後には「車いすと上肢が連動してきた。車いすが土をかみしめて、下から安定してくる感じがある」と好調をアピールしていた。「ウデの新しいチェア(車いす)とやるのは初めてだった。でもコートに立てば車いすどうこうよりも人と人」。負けたのは車いすの値段だけ。心技体の総合力は国枝の圧勝だった。

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