帝京大“金星”接点制しTL撃破!大学生では06年早大以来

[ 2015年2月9日 05:30 ]

<帝京大・NEC>NECに勝利し、抱き合って喜ぶ松田(右から3人目)ら帝京大フィフティーン

ラグビー日本選手権1回戦

(2月8日 秩父宮)
 日本ラグビー史に新たな歴史をつくった。4試合が行われ、大学選手権6連覇の帝京大が、トップリーグ10位のNECを31―25で破る大金星を挙げた。03年のトップリーグ創設以降、大学勢によるトップリーグ勢からの勝利は、06年2月に早大が28―24でトヨタ自動車を破って以来、9季ぶり2度目の快挙。大学最強軍団は15日の2回戦(秩父宮)で、トップリーグ3位の東芝に挑む。 

 後半41分、NECの反則を知らせる笛とともにベンチの選手が跳び上がった。39分に1トライを返され、3点差に詰められて試合再開。プレーが切れれば負けが決まるNECが必死にボールを保持しようとする中、帝京大は懸命にタックルを繰り返し、相手の反則を誘発。SO松田が落ち着いてPGを決めると同時にノーサイド。グラウンドの15人も、抑えていた喜びを一気に爆発させた。

 「最初のコンタクトから、やれるという手応えをつかみました。僕たちの強みは守り。ボールを失っても、守りから行こうと声を掛けました」

 SH流主将は満面の笑みで語った。FW平均で相手を上回る104・4キロの体重が示すように体格は互角。大半のラインアウトでボールを奪われながら、取り返す接点の強さが金星の土台だった。前半は「想定内」の17―17で折り返し。20―20の後半27分に松田のPGで勝ち越すと、同35分に流のキックからWTB尾崎がトライ。岩出監督が「計算通り」と言った試合運びで接戦を制した。

 06年の早大以来、9季ぶりの快挙だが、岩出監督は「9年前とはトップリーグのレベル、特に技と体の部分は違う」と話す。日本代表の躍進が象徴するように、プロ化12年目で大きく進化したトップリーグ勢相手に、どうすれば勝てるのか。昨年度はトヨタ自動車に13―38で完敗した。ただ、この黒星が今年「最強チーム」をつくり上げた。

 昨年度まで週3回がノルマのウエートトレーニングを、今年度は4回に増やした。コンタクトなど強度の違いに慣れるためパナソニック、サントリーなどに出稽古。大学選手権決勝後は10日程度休んでいたのを5日に短縮した。さらに指揮官の「試合を壊したのはセットプレー」との昨年の反省からOBで元日本代表プロップの相馬朋和氏をスクラムコーチとして招へい。プロップ森川、フッカー坂手らが「疑問があれば、すぐに尋ねられる人がいるのは大きかった。組んだ時のブレもなくなった」と口をそろえるように、一番の敗因だった差も1年で埋めた。

 「また1週間、ラグビーができることに感謝して来週も勝ちたい」。ひた向きに取り組んできた流主将は、そのことが一番うれしそうだった。 

 ▼早大のトヨタ自動車撃破(06年2月12日、日本選手権2回戦) 清宮監督(現ヤマハ発動機監督)5季目の早大はフランカー佐々木主将(現サントリー)、FB五郎丸(現ヤマハ発動機)らタレントをそろえて大学選手権を連覇。試合ではマイボールラインアウトを13本中5本しか取らせず、前半を21―14で折り返し。後半もリードを保ち、終了間際は防戦一方となりながらも、28―24で逃げ切り。03年のトップリーグ創設以降では、初めての大学勢勝利となった。

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