錦織志願のサプライズ出場 日本のダブルス勝利は史上初

[ 2014年2月2日 05:30 ]

カナダ組に勝利した錦織(手前)、内山組

テニス男子国別対抗戦デ杯  ワールドグループ1回戦第2日

(2月1日 東京・有明コロシアム)
 ダブルスが行われ、2年ぶりにワールドグループ(WG)に復帰した日本は当日のメンバー変更でエース錦織圭(24)を起用し、内山靖崇(21)とのペアで、フランク・ダンセビッチ(29)、ダニエル・ネスター(41)組を6―3、7―6、4―6、6―4で破った。WG(現行制度となった81年以降)で日本のダブルス勝利は史上初。通算2勝1敗として初のWG初戦突破に王手をかけた。最終日はシングルス2試合が行われ、計5試合で3勝したチームが準々決勝に進出する。

 試合前のサプライズが歴史的な1勝の序章だった。開始1時間前に発表されるメンバー変更。日本の選手欄には杉田祐一(三菱電機)に代わって、錦織の名前があった。

 4大大会8勝の実績を持つネスター擁するカナダはダブルス強国。エースを投入して負けた時のリスクが大きい日本は錦織をシングルスに専念させるものだと思われていた。観客も土曜日にかかわらず、6445人だった金曜日よりも少ない3656人に減っていた。

 「試合は年に3~4回。まったく練習しない」ダブルス。だが、実は1週間前から志願し準備はしていた。初日に2勝できなかったことで植田実監督は「迷いはあったが、勝つために最善だと思った。錦織はもちろん能力があるし、内山の力を引き出せると思った」とメンバー変更を決断。前夜に錦織に伝えられた。

 エースは勝負に出た指揮官の奇策にしっかり応えた。過去に一緒に米国で練習し、昨年の楽天ジャパンオープンでコンビを組んでいる3歳下の内山と息の合ったプレーを展開。ダブルスのスペシャリストをも翻ろうする巧みなボレーも披露。勝負を分けるポイントとなった第2セットは先にサービスゲームを落としたが、第10ゲームでブレークに成功。タイブレークは錦織が強烈なサーブで確実に点を稼ぎ、堅実なリターンで相手のミスを誘って制した。

 「ウッチーがいいプレーをして、つられていいプレーができた。最高の試合でした。あしたもあるので、勝ってから、もう少しいろいろと言いたいですね」

 錦織は2日の最初のシングルスに出場する予定だ。勝てば最終戦を待たずに日本初の8強入りが決まる。「初日は3セット(のストレート勝ち)だったので、体力的には問題ない。(最終シングルス出場予定の)添田君にプレッシャーをかけないためにも自分で終わらせたい」ときっぱり。3日連続の出場を志願し、自らの力で勝利をもぎ取る決意を口にする姿はエースの風格たっぷりだった。

 ▼デ杯(デビスカップ) 1900年に始まった男子の国別対抗戦。81年から始まったワールドグループ(WG)は16カ国で構成。下部は3地域に分かれた4部制。WG1回戦の敗戦国は入れ替え戦に回る。日本は初参加の21年に準優勝しているが、戦後は低迷。WG制になってからは今回が4度目の本戦で、1勝もしていない。

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2014年2月2日のニュース