沙羅逆転でW杯9勝目 シーズン最多記録並んだ

[ 2014年2月2日 05:30 ]

高梨沙羅の1回目

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第12戦

(2月1日 オーストリア・ヒンツェンバッハ=HS94メートル、K点89メートル)
 高梨沙羅(17=クラレ)がW杯3試合ぶりの優勝で今季9勝目を挙げた。1回目は87メートルで2位にとどまったが、2回目に90メートルと伸ばし合計231・7点で逆転優勝。1シーズン9勝は11~12シーズンのサラ・ヘンドリクソン(米国)に並ぶ女子W杯シーズン最多勝利となった。伊藤有希(19=土屋ホーム)は5位、山田優梨菜(17=長野・白馬高)は2回目に進めなかった。

 高梨が定位置に戻ってきた。見慣れた表彰台の真ん中からの景色を眺めながら、穏やかな笑顔が浮かんだ。これで今季12戦中9勝。女子W杯のシーズン最多勝に並ぶとともに昨季の8勝を上回る自己記録を更新した。

 「1回目は自分の中で納得がいかないジャンプが出たので巻き返せてよかった。勝ったことは自信になる。2回目は内容もよかった。凄くいい勉強になった」

 初めて飛ぶヒンツェンバッハの台に手を焼いた。前日の公式練習では3本のジャンプすべて「タイミングが遅れた」と不満の残る内容。「曲線がなだらかで(踏み切る)直線部分が短い」という印象が残った。ただし、ジャンプ台のプロフィルを見ると、高梨が連勝した蔵王に比べても短いわけではなかった。ヒルサイズはノーマルヒルとしては小さい94メートル。助走路全体の短さが見た目と感覚のズレを生んでいた。

 前週のW杯は2戦連続でイラシュコ(オーストリア)に次ぐ2位。その後の世界ジュニアで個人、団体を制してオーストリア入りしたが「調子がいいわけではない」という状態だった。公式練習での違和感が不安を生み、「自分だけでは限界がある」と日本にいる父・寛也さんにも助けを求めた。映像を確認した寛也さんからは「言うほど悪くない。自信をもってやればいい」とアドバイスが返ってきた。

 この日は強風のために試技が中止となり、1回目はK点こそ越えたものの2位止まりだった。「もう1回自分のアプローチのポジションを確認して、アプローチに集中した」と2回目は大きな飛行曲線を描いて90メートルまで距離を伸ばした。順応力の高さも大きな武器。それでも「もっとすぐに慣れる技術を身につけないといけない」と勝ってなお反省を忘れず、2日のW杯で五輪前最後の試合に臨む。

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