東京五輪招致成功の理由は和食 IOC委員の胃袋つかむ「喜んでくれてね」

[ 2013年12月2日 10:07 ]

2020年の東京五輪で提供される料理の可能性について語る服部栄養専門学校校長の服部幸應氏

 2020年東京五輪で、世界中のアスリートが集まる選手村。中でも気になるのが「食」。1964年の五輪では、外国の選手のために日本のシェフたちが当時の国内では珍しかった各国の郷土料理に挑戦して振る舞った。21世紀のおもてなしの食はどういうものになるのか、時代の変化や料理の進化を探った。

 昨年7月、ロンドン五輪中に市内で開かれたJOC主催の東京五輪招致レセプション。IOCの委員たちを喜ばせたのが日本の「食」だった。

 東京の食を強調するために、有名江戸前寿司「銀座 久兵衛」(中央区)と老舗そば店「更科堀井」(港区)の店主や職人がロンドン入り。英国のローストビーフを使ったにぎり寿司や、日本産の野菜で五輪色に彩ったそばなどがふるまわれた。

 レセプションの料理を統括プロデュースした服部栄養専門学校校長の服部幸應氏は「(IOCの)ロゲ会長が本当に喜んでくれてね。東京五輪招致が決まったのは、あの料理のおかげかもよ」とニヤリ。寿司やそば以外にもネギ、ニンジン、ごぼう、こんにゃくなどの日本産の根菜類を使ったシチューなども好評。和食のうまみを出すため、かつおぶしやこんぶを使っただし汁は日本で作って瓶詰めして持ち込んだ。

 IOC委員の胃袋をつかんだ和食は選手村でも注目を浴びそう。「いまや世界のみなさんは、和食のおいしさを知っています。食材も安全基準をクリアしたものを使い、本物の味を出すことがおもてなしになる」(服部氏)と、世界のアスリートが寿司やそばに舌鼓を打つ姿がみられそうだ。

 服部氏が1964年の五輪時との大きな違いとして指摘するのが、世界のさまざまな宗教や思想に対応する料理を提供する必要性だ。

 例として挙げるのが、イスラム教徒の人が食べる「ハラール食品」。アラーの神に許可された食品という意味で、許可証が付いている。「選手村でも街のレストランでも、きちんと証明書を付けて表示したり調理法を広める必要があるでしょう。世界ではそういうものが広まっている、宗教を意識してあげるのは絶対のもの。ほかにも、ベジタリアンの人もいるでしょうし、そういうきめこまやかな対応が今度の五輪では求められるでしょう」

 世界の料理を取り入れた挑戦から、2020年は日本独自の食材やきめこまやかな配慮へ。選手村の食事は大きく変わりそうだ。

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2013年12月2日のニュース