琴欧洲 2年半ぶり9日目給金、30場所ぶりVいける!

[ 2013年7月16日 06:00 ]

千代大龍(左)を破り1敗を死守した琴欧洲

大相撲名古屋場所9日目

(7月15日 愛知県体育館)
 大関・琴欧洲が1横綱1大関を撃破した幕内・千代大龍を寄り切りで退け、1敗を死守。11年初場所以来2年半ぶりに9日目での勝ち越しを決めた。ケガの不安も解消され、持ち前のスケールの大きな相撲が復活。08年夏場所以来30場所ぶり2度目の優勝も見えてきた。横綱・白鵬は関脇・豪栄道を上手出し投げで下し、9戦全勝。1敗は琴欧洲と平幕・魁聖の2人。

 負けた時は仏頂面で無言。勝っても気の利いたコメントはなし。2メートル2、156キロの巨体に似合わず、支度部屋では存在感も薄い琴欧洲が珍しく強気に言い放った。「横綱戦まで1敗でいけたら(優勝を)意識するけど…」。初優勝の08年夏以来5年間も賜杯を手にしていない男をその気にさせる要素が、今場所は備わっていた。

 「見違える姿」とは、まさしくこのことだ。春場所は左肘を痛め途中休場。夏場所は千秋楽でようやくカド番を脱出した琴欧洲は早々と勝ち越した。9日目の給金直しは11年初場所以来2年半ぶり。「体が動いている。(左差しは)意識していない」。はっきりと質問に答える姿が好調のバロメーターだった。

 強力な立ち合いが売りの千代大龍に出足で負けなかった。思い切って頭から当たって右上手をつかむと、そのまま寄り切った。7日目の安美錦、8日目の時天空には左上手を取って完勝。左右のまわしにこだわらない攻めの姿勢に、北の湖理事長(元横綱)も「当たりがいい。まわしを取るのも速い」と評価した。

 かつて角界のベッカムと言われ爆発的な人気を誇った男もすでに30歳。大関在位は史上4位の45場所。最近はケガに悩まされ、この日朝には春場所2日目の栃煌山戦で左足親指付け根を痛め、立つことも大変だったことを明かした。その影響もあって夏場所はふがいない相撲が続き、14日目の松鳳山戦では、自滅に近い腰砕けで負けるという屈辱も味わった。「先場所は(苦労が)何年分もあった」。しかし、今場所はケガも回復し、迫力ある相撲が復活。序盤で苦手の栃煌山、豪栄道らをねじ伏せて勢いに乗り「勝ち負けは意識しないで取っている」と手応えをつかんでいる。

 麻子夫人の出身地(愛知県一宮市)に部屋の宿舎を構えていることもあり「地元の人が凄く応援してくれてうれしい」と語る。白鵬に過去1年(6場所)で2勝しているのは琴欧洲と日馬富士だけ。足取りも軽やかに車に乗り込んだ姿が頼もしかった。

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2013年7月16日のニュース