松山9差逆転負け 国内ツアー史上最大タイ

[ 2013年5月20日 06:00 ]

プレーオフのために用意されたキャリングボードの前を悔しそうに引きあげる松山英樹

男子ゴルフツアー 日本プロゴルフ選手権日清カップヌードル杯最終日

(5月19日 千葉県印西市 総武カントリークラブ総武コース(7327ヤード、パー71)
 怪物が史上最大の逆転劇を許した。2位に4打差をつけて首位から出た松山英樹(21=東北福祉大)は、3バーディー、7ボギーの75と乱れ、通算4アンダーで1打差の2位。ツアー最速のプロ4戦目でのメジャー初優勝はならなかった。17位から出た金亨成(キムヒョンソン)(33=韓国)が65を叩き出し、ツアー最多に並ぶ9打差を逆転してツアー通算2勝目を挙げた。

 パーセーブでプレーオフ進出が決まる18番パー4。松山は左ラフからの第2打を安全に花道に運ぶことも考えた。だが、小技に不安を抱えているが故、無理にピンを狙う。結果はバンカー。2メートルにしか寄せられずパーパットはカップの右を無情にも通過した。「本当に悔しい。きょうの悪い流れがそのまま出た」。プロ4戦目でのメジャー優勝は消え、松山は観客のため息とともに天を仰いだ。

 1番で50センチのパーパットを強めに打って外したのが全てだった。「きのうまでパットが入っていて簡単に打ちすぎた。1番のミスが要因」。2番で60センチのパーパットを沈めてもタッチの強弱の「違和感」は拭えず、最後までラインの読みに迷いがあった。好ショットで補おうとして逆に力が入る悪循環。4番パー4で第2打をグリーン奥に外すと、そこから4連続ボギーで4打あった貯金を吐き出した。

 14、15番の連続バーディーで首位に並んだが、最後の18番も「不安だった」パットに泣かされた。2メートルのパットはラインの読みに迷い、キャディーから真っすぐ打つよう助言されながら「不安で右を向いてしまい」外れた。

 前日からテレビのリポーターを務めた丸山茂樹は松山のスイングを「ゆっくりバックスイングを上げると、緊張した時にタイミングを合わせるのが難しくなる」と分析した。バックスイングからフォローまで一定のリズムのスイングとは違い、松山はトップまでがゆっくりで、切り返しから鋭く振り落とす。テンポが変わる分、力むとタイミングがずれやすい。「昔のタイガー(ウッズ)もそうだった。いつか直さないといけない時が来る」と話す。プロで初めて最終日最終組で回り新たな課題も見つかった。

 この日は、東北福祉大・阿部靖彦監督の51歳の誕生日だったが、勝利をプレゼントすることはできなかった。結果的には2日目の15番での2罰打が足を引っ張った。「ショートゲームを磨かないといけない。いい勉強になりました」。苦い経験が松山の糧となる。

 ≪9打差逆転Vは過去2試合≫国内ツアーで最終日に9打差を逆転して優勝したのは過去に2試合。80年の日本国土計画サマーズ(ニュー蓼科CC)の船渡川育宏と、83年のゴールドウィンカップ日米ゴルフ(太平洋C六甲C)の中嶋常幸が記録している。

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2013年5月20日のニュース