ボルト2冠締め!ジャマイカ世界新で圧勝V

[ 2011年9月5日 06:00 ]

<世界陸上 男子4×100メートルリレー決勝>ジャマイカチームのアンカーのボルトは大勢の観客を背にゴールするボルト

陸上世界選手権最終日

(9月4日 韓国・大邱)
 男子400メートルリレーでジャマイカが37秒04をマークして優勝。アンカーを務めたウサイン・ボルト(25)が独走状態でフィニッシュし、同国が08年北京五輪で樹立した世界記録(37秒10)を100分の6秒更新した。ボルトは100メートルの決勝(8月28日)ではフライングで失格となったが、前日の200メートル決勝に続いて爆走。100メートルの覇者ヨハン・ブレーク(21)らとともに、大会唯一の世界記録を最後の種目で誕生させた。

 誰もいない空間を“超人”が切り裂いていく。個人種目の予選で見せていたような流すそぶりはない。「とにかく速く走ってやろうと必死だった」と、ボルトはギアをトップに入れたままフィニッシュし、バトンを夜空に向かって放り投げた。4万5000人の観客がどよめく。掲示された優勝タイムは37秒04。今季世界最高の9秒78をマークしていたアサファ・パウエル(28)と3位の9秒80をマークしていたスティーブ・マリングス(28)が故障と薬物違反でともに不在となりながら、短距離王国ジャマイカは世界記録を叩き出して頂点に到達した。

 アンカーのボルトにバトンが渡るまでは米国と競り合っていた。しかし米国の第3走者、ダービス・パットン(33)がアンカーのウォルター・ディックス(25)にバトンを渡す前に転倒。あとはボルトの独り旅となった。「大事なことをやり遂げた。だからチームを本当に誇りに思う。素晴らしい気分だ」。1人平均9秒26で走らなければマークできない世界記録だが、100メートル決勝でのミスを考えれば4人の中で最も記録に飢えていた男がボルトであることは間違いない。

 ジャマイカは北京五輪でアンカーを務めたパウエルの代わりに、今大会で100メートルを制したブレークを第3走者に起用。五輪で第3走者だったボルトが「アキレス腱が痛くてカーブを走れない」と申し出たために微妙にその役目を変更していた。そしてその作戦がズバリ。最終日の最終種目の最終走者が演じた圧巻の走りは、まさに“ライトニング(稲妻)”の異名にふさわしい衝撃的なものだった。 

 ジャマイカ政府は北京五輪で世界記録をマークしたリレー・メンバーの4人に勲章を授与。しかし今回は“保留”するかもしれない。なぜならロンドン五輪でパウエルが戻ってくれば人類初の36秒台突入も可能。2度目の勲章は、さらなる快挙を待ってからでも遅くはないだろう。

 ◆男子400メートルリレー
(1)ジャマイカ [世]37秒04
(カーター、フラーター、ブレーク、ボルト)
(2)フランス 38秒20
(3)ネビス 38秒49
[世]ジャマイカ 37秒10
[日]塚原、末続、高平、朝原 38秒03

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