桂治3階級制覇へ“秘策”康生コーチとタッグ!

[ 2010年9月9日 06:00 ]

 柔道の世界選手権は9日、東京・国立代々木競技場で開幕する。52年ぶりの東京開催には111の国と地域から過去最多の男女計848選手がエントリー。8日には都内ホテルで組み合わせ抽選が行われた。初日に登場する男子100キロ超級の鈴木桂治(30=国士舘大教)は、世界ランク1位のテディ・リネール(フランス)と反対のブロックに入ったが、この王者対策を井上康生コーチが伝授。03年の無差別、05年の100キロ級に続く3階級制覇への道のりが見えてきた。

 国際連盟主催の会見にゲストとして出席した井上コーチは、鈴木に秘策を授けたことを明らかにした。「リネールは桂治の組手を嫌がっているみたい。何度切られてもあきらめず組むことがポイントになると思うんです」。初日の100キロ超級、100キロ級は井上コーチが担当する階級。昨年のメダル0の雪辱をメダルラッシュで果たすため、準備は怠っていなかった。
 無差別を合わせ世界選手権3連覇中の現王者リネールは、井上コーチにとって因縁の相手だ。07年の世界選手権、08年2月のフランス国際と2度対戦し、2度とも延長戦の末に惜敗。特に2度目の敗戦は、井上コーチが北京五輪出場を逃した原因ともいわれた。だからこそ、指導者となった今、ビデオで世界王者を丸裸にしてみせた。
 右で奥襟を取る右組のリネールに対し、井上コーチは相四つだったが、鈴木は左組でケンカ四つ。欧州での合宿にも合流し、2人の乱取りを見守った井上コーチは、この組み手がキーポイントになると看破。詳細は明らかにしなかったが「リネールはスタミナもあるけど、組んでいけばチャンスがある」と自信を漂わせた。
 鈴木自身は今年1月のマスターズ(韓国)決勝でリネールと対戦。延長の末、指導2の差で敗れたが、この時は右肩を痛めており、引き手は万全ではなかった。当時に比べ足技の切れも戻りつつあり、状態は比べるまでもない。「今回、優勝するかしないか、今後を分けると思う。優勝しか考えてない」と鈴木。かつては宿命のライバルとして日本柔道界を背負った2人のタッグが、新たな歴史を切り開く。

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2010年9月9日のニュース