穴井 日本男子の面目保つ…スランプ克服、初の頂点

[ 2010年9月9日 21:49 ]

男子100キロ級で獲得した金メダルを胸に、笑顔の穴井隆将

 【世界柔道男子100キロ級】日本のエース格と呼ばれて久しい男が、初めて世界一の座を手にした。100キロ級の穴井。日本男子に世界選手権2大会ぶりの金メダルをもたらし、「今日はとりあえず結果が欲しかった」と言葉を振り絞った。

 必死に6試合を戦い抜いた結果で、内容は良くなかった。決勝のフロル戦。互いに効果的な技が出せないまま、指導一つの差で逃げ切ると、日本男子の篠原監督の元へ駆け寄って抱擁した。
 昨年は全日本選手権を制したが、世界選手権は銅メダルどまり。今年はスランプに陥った。全日本選手権2連覇を逃すと、5月からは国際大会3連敗。「技はかからない、組み手も思い通りにならない。力も入らない」と苦悩し、7月下旬のベラルーシ合宿では代表辞退を申し出る寸前にまで追い込まれていた。
 背中を押してくれたのは天理大の先輩でもある篠原監督。夏場はともに関西から東京に遠征し、警視庁などへ二人三脚で出げいこした。「おまえが一番練習したんだ。自信を持て」。この言葉を心の支えとし、畳に向かった。8月中旬に第1子である長男が誕生したことも大きなエネルギーとなった。
 穴井は「海外で負け続けてつらかったけど、結果だけは監督に恩返しができた」とうれし涙で声を震わせた。篠原監督も「素直にうれしい。穴井が勝ったことで、みんながいけるぞと思う」と声援で枯らした声で喜ぶ。逆境からはい上がった穴井が、地元開催の大会で日本男子の面目を保ってみせた。

続きを表示

2010年9月9日のニュース