NHK異例の決断…名古屋場所の生中継中止

[ 2010年7月6日 16:03 ]

NHKの福地茂雄会長(右)と名刺交換する日本相撲協会の村山弘義理事長代行

 大相撲の野球賭博問題をめぐり、NHKの福地茂雄会長は6日記者会見を開き、11日に初日を迎える名古屋場所(愛知県体育館)の生中継を取りやめると発表した。代わりに20分程度のダイジェスト番組を、取組終了後の午後6時台にNHK総合とBS2で放送、ラジオも同じ時間帯に取組結果を放送する。

 NHKは1928年にラジオで、53年にテレビで本場所の中継を開始。一場所を通じてテレビの生中継を取りやめるのは初めて。
 福地会長は中止の理由について「日本相撲協会の改革の方向性について具体的な道筋がまだ立っていない。一方で視聴者から厳しい意見が寄せられている。総合的かつ慎重に判断した」と説明した。相撲協会に対して「100年に一度の危機という緊張感を持って、待ったなしの改革に取り組むことを強く要望する」と注文した。
 NHKによると、5日までに視聴者から寄せられた意見は約1万2600件。うち約8600件(68%)が中継に反対、賛成は約1600件(13%)だった。
 福地会長は野球賭博問題について「反社会的勢力である暴力団とのかかわりが指摘され、極めて重大で遺憾な事態」と指摘。会長就任以来、視聴者から中継中止を求められた不祥事は、元横綱朝青龍関の暴行問題など4回目だが「今回は声の数が違う」と強調した。
 中止については「不祥事に伴う異例中の異例の措置。今回に限る」との考えを示した。相撲協会に支払う放送権料の扱いは今後、協議するという。日本語で放送する国際放送もダイジェスト番組のみで放送する。
 福地会長は6日夜、NHKの番組に出演。視聴者に経緯を説明し理解を求めた。
 相撲協会の村山弘義理事長代行らは6日、福地会長らと面会。NHK側に名古屋場所の中継を要請していた。

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2010年7月6日のニュース