愛子「勝っちゃいました」W杯10勝!

[ 2010年3月8日 06:00 ]

フリースタイルスキー・モーグルのW杯第8戦で、第2エアを決める優勝した上村愛子

 フリースタイルスキー・モーグルのW杯は7日、福島・猪苗代町のリステルパークで行われ、女子第8戦で上村愛子(30=北野建設)が今季初優勝、昨年2月以来のW杯通算10勝目を挙げた。バンクーバー五輪4位の上村は2番手を1秒52引き離す最速タイム。悪天候のため予選成績が最終結果となり、五輪銀メダルのジェニファー・ハイル(カナダ)、銅のシャノン・バーク(米国)に“雪辱”した。この日は順延された6日の試合を合わせ2戦を行う予定だったが1戦だけとなり、男子は中止された。

 照れくさそうな笑みを浮かべて、上村の発した第一声は「勝っちゃいましたねえ」だった。濃霧による視界不良で何度も中断したレースは結局、全員が完了した予選成績による1本勝負に。「クリーンな滑りはできてなかった」と言うが、最大斜度35度という世界屈指の難コースで、後続に1秒52の大差をつけたタイムが優勝のキーポイントだった。

 悲願のメダルに届かなかったバンクーバーのレースから3週間。「競技者の気持ちが一度、落ち着いてしまっていた」。今月2日に帰国するまで練習はせず、ファンの手紙を読みながら泣いた日もあったという。出場も迷ったレース。だが、昨季の世界選手権で2冠を達成したコースに出た途端、聞こえてきたのは温かい大歓声。心に浮かんだ「何とかゴールしたい」という思いが、限界スピードとなって表れた。

 前日のレースが中止になり、母・圭子さんは滞在を1日延長して観戦した。「もしかしたらそう(W杯は最後に)なるのかな、という思いは少しはある」と話しながら、「いろんなところに相談して決めたい」と去就についての決断は先延ばしにした。五輪の銀、銅メダリストを従えたW杯区切りの10勝目は、最後の金字塔か――。だが、探すのをやめたときに手にした「表彰台の頂上」という探し物は、上村の決断を左右する可能性もある。

続きを表示

2010年3月8日のニュース