“走る警官”柴内が逃げ切りV

[ 2010年3月8日 06:00 ]

<2010三浦国際市民マラソン>男子ハーフマラソンを制した柴内康寛

 ホノルルマラソンの姉妹レース「第28回2010三浦国際市民マラソン」は7日、1万3726人(5キロ=3336人、10キロ=4467人、ハーフマラソン=5505人、キッズラン=418人)が参加して行われた。男子ハーフマラソンは招待選手の柴内康寛(24=警視庁)が1時間8分58秒で、同女子は西尾美耶(21=ユニバーサルエンターテインメント)が1時間18分55秒で、それぞれ優勝した。男女ハーフマラソンの完走者から2人、10キロの完走者から1人が、抽選で12月に開催される「第38回JALホノルルマラソン」出場権を獲得した。

 沿道からの「警視庁、がんばれー!」という声援に乗せて“走る警官”柴内がピッチを上げてフィニッシュ地点に現れた。雨風が吹き荒れた天候も「最高でした」と苦にせず、知り尽くした地元・三浦海岸のコースを快走。2位に1分38秒の大差をつけて2年ぶりにトップでゴールテープを切り、右手親指を立てて「グ~」ポーズを作った。

 2年前に初優勝を飾った時は専大の学生。4年時には箱根駅伝で10区を走った。だが、08年4月に警視庁入りし、警察学校に通うなど忙しい日々が始まり、陸上から遠ざかった。過去10度も出場していたこの大会も昨年は参加しなかった。

 社会人2年目に東京・小金井署に配属されたのを契機に徐々に走ることを再開した。「職場の理解がなければ出場できなかった。署長、副署長には本当に感謝しています」。招待選手として出場要請されたことを署長に明かすと「頑張ってこい」と背中を押された。
 4日に1度、交番での深夜業務がある。ケンカの仲裁、泥酔したサラリーマンの対応。どれもこれも学生時代にはなかった経験だ。仕事が終わった後にはジムに通い、汗を流して大会に備えた。

 「この走力で犯人も捕まえたい」と、ちゃめっ気たっぷりに話した24歳の夢は、白バイに乗って箱根駅伝10区を先導することだ。「うまく白バイに先導してもらったら走っている側は気持ちが楽」。警視庁の中でも一、二を争う白バイ技術を習得しない限り任されることのない花形業務だが、誰よりも走ることが大好きな柴内なら、どんな高い壁も乗り越えられるはずだ。

 ◆柴内 康寛(しばうち・やすひろ)1986年(昭61)2月11日、神奈川・三浦市生まれの24歳。初声中で本格的に陸上を始める。横浜高を卒業後、専大に入学。大学4年時の箱根駅伝に10区で出場して区間14位。自己最高記録はハーフマラソンが1時間5分12秒、1万メートルが30分3秒50。1メートル63、52キロ。

続きを表示

2010年3月8日のニュース