杉山 準Vで現役ラスト大会終える

[ 2009年10月4日 06:00 ]

女子ダブルス決勝 花束を持ってコートを去る杉山の目に涙

 女子テニス東レ・パンパシフィック・オープン最終日は3日、東京・有明テニスの森公園で行われ、今大会で現役引退する杉山愛(34=フリー)はダニエラ・ハンチュコバ(26=スロバキア)と組んだダブルス決勝で、アリサ・クレイバノワ(20=ロシア)フランチェスカ・スキアボーネ(29=イタリア)組に4―6、2―6で敗れ、17年間のプロ生活の最後を準優勝で終えた。シングルス決勝ではマリア・シャラポワ(22=ロシア)が、4年ぶり2度目の優勝を果たした。

 日本が生んだ名テニスプレーヤーが、ついにコートから去った。試合後に行われた引退式で杉山は「初日のセレモニーで泣きすぎたので、きょうはスマイルで終わります」とあいさつ。だが17年間のプロ生活を支えてくれたファン、後輩、仲間からの拍手や声援を受け、最後にコートを歩いた瞬間、自然と涙がこぼれ落ちた。

 「後輩の森田(あゆみ)たちが泣いているのが見えてウルウルきた。涙は枯れることがないんだと思った。こんなに思われてコートを去れるなんて恵まれている。これ以上の形で現役を終えることはない」

 プロ413大会目で迎えた最高の舞台。第1セット序盤は相手ペアのミスもあり4―1とリードした。だが、準決勝で世界1位ペアを破ったクレイバノワ・スキアボーネ組のスピードとパワーに徐々に圧倒された。そこから9ゲーム連続で奪われストレート負け。準優勝で最後の大会を終え、テニス人生を一緒に歩んだ母・芙沙子コーチは「あしたからは違う朝になるんだろうな」と感慨に浸り、杉山は「これからは親孝行する」と“元コーチ”に感謝の意を示した。

 93年、初めて出場したこの大会の初戦でスーパースターのマルチナ・ナブラチロワと対戦。結果は1―2で敗れたものの1セットを奪う健闘を見せ「あなたならトップ選手になれる」と声をかけられた。以後、女王の言葉を支えに「うまくなりたいというモチベーションだけ」を原動力として地道に努力を重ねてきた。17年間の“原点”となったこの大会を最後についに現役を引退。「若い選手も頑張っている。自分がうまくなるためにどうしていくか自己投資してほしいし、私にできることがあれば話しかけてほしい」。杉山が残した“財産”は必ず後世へと受け継がれるはずだ。

 ≪引退式でクライシュテルスから手紙≫引退式の途中、かつて杉山とダブルスを組み03年全仏、ウィンブルドンを制したキム・クライシュテルスからの手紙が読み上げられた。「あなたの前向きな精神があったから今の私がいる」。07年に引退したクライシュテルスは結婚と出産を経て今季2年ぶりに復帰。全米オープンでは復帰3大会目にして4大大会優勝を果たしただけに「子供が欲しいと思ったり、復帰したいと思ったときは私に連絡して」と手紙を締めくくった。

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2009年10月4日のニュース