ブラックフライデ―…欧洲●、朝青●、白鵬●

[ 2008年5月24日 06:00 ]

安美錦に押し出しで敗れた 琴欧洲(右)は相手のさがりを土俵下に投げ捨てる

 大相撲夏場所は23日、東京・両国国技館で13日目を行い、大関・琴欧洲が苦手の安美錦に一方的に押し出され、初黒星を喫した。2敗で追っていた横綱・白鵬も琴光喜に敗れたため2差は変わらず、14日目に琴欧洲が勝つか白鵬が敗れれば、初優勝が決まる。白鵬に続いて朝青龍も敗れ、両横綱はそろって2連敗。2横綱の2連敗は99年秋場所の初日、2日目の貴乃花、若乃花以来だった。

 12連勝した大関とは別人だった。立ち合いから安美錦に押し込まれ、のど輪で体をのけぞらせた。何もできずに土俵下へ落とされると、悔し紛れに左手に絡みついた相手の下がりを振り払い、拾って投げ返した。琴欧洲は未経験の重圧に完全にのみ込まれていた。
 仕切りでの相手の策に心が揺れた。1度目の立ち合いは安美錦が「待った」。2度目は突っかけられた。東の花道で姿を見守った師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「硬すぎた。まずいと思った。少しでも私の顔を見てくれていれば」と思ったという。相手はこれまで5勝7敗と苦手の安美錦。悪い予感は的中した。
 支度部屋では口を真一文字に結んで質問を無視し、髪を結い終えてから「今日は今日。明日は明日」と言い聞かせるようにつぶやいた。この日の朝稽古では、佐渡ケ嶽親方からぶつかり稽古を指示された。横綱連破で緩みがちな気持ちを引き締めたが、逆にかつて“ノミの心臓”と言われた心の弱さが出てしまった。
 しかし、12連勝から2連敗し、優勝決定戦でも敗れた4年前とは違う面も見せた。兄弟子の琴光喜が白鵬を破った瞬間をモニターで見届けると、琴欧洲はうっすらと笑みを浮かべた。2差は変わらず、14日目に過去8勝5敗の安馬に勝てば優勝が決まる。「自分が勝つことだけを考える。気持ちは関係ない」。口元にのぞいた、わずかだが確かな余裕。4年前の悔しさを繰り返すつもりはない。
 
 ≪白鵬まだ諦めん!≫白鵬が優勝争いから後退する3敗目を喫した。目の前で琴欧洲が敗れ、勝てば1差に迫るチャンスだったが、琴光喜十分の右四つの形に持ち込まれ寄り倒された。「よしと思っていったけど体がついていかなかった。左上手が届かなかった。ケガを理由にしたくないけどいまひとつね…」と悔しさをかみしめながら振り返った。だがまだ優勝の望みが完全に消えたわけではない。「どこが悪いとか言ってられない」と気合を込めていた。

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2008年5月24日のニュース