自分に勝った!京子 北京切符

[ 2008年3月21日 06:00 ]

金メダルを手におどける浜口京子(中央)ら女子選手たち

 レスリングのアジア選手権第3日は20日、済州島(韓国)で女子の7階級を行い、女子72キロ級決勝で浜口京子(30=ジャパンビバレッジ)がオチルバト・ブルマー(モンゴル)に2―0で快勝し、北京五輪切符を獲得。日本女子は五輪2大会連続で全4階級の出場が決まった。また、1月のW杯で連勝が119でストップした55キロ級の吉田沙保里(25=綜合警備保障)も五輪前最後の国際大会で復活V。48キロ級の伊調千春(26)、63キロ級の伊調馨(23=ともに綜合警備保障)も優勝し、本番での全階級制覇の準備が整った。

 試合終了の瞬間に自らの勝利を確認した浜口は、両ひざをマットにつき崩れ落ちるように全身で喜びを表現した。優勝と、五輪切符の獲得。初戦であわやフォール負けのピンチをしのぎ、勝ち抜いてから約10時間。「今までの自分ならあそこであきらめていた。弱虫の自分を叩きのめそうとして、自分と戦っていた。決勝は練習通りのタックルが出て最高です」と声を絞り出した。

 2年連続の屈辱からはい上がった。06年の世界選手権ではズデレバ(ブルガリア)の反則に近い攻撃で鼻骨を骨折し、敗退。直後のアジア大会には強行出場したが、アテネ五輪で敗れた王旭(中国)に敗れた。さらに、雪辱を期した昨年9月の世界選手権では、再びズデレバと対戦した2回戦で誤審の末に敗退。五輪4階級中、3階級が世界の頂点に立ち北京行きを決めたのに対し、浜口だけが出場権すら逃す非常事態となった。

 「去年の世界選手権とは全く反対のことをしようと思う」。練習量は以前と変わらない。必要なのは、落ち込んだ気持ちを鼓舞させ、何かを変えることだった。縁起かつぎの両手中指のマニキュアをやめ、父、母の見送りも拒否し単身で成田空港へ姿を現した。30歳のすがるような思いがそこに表れていた。

 「切符を獲るまで毎日不安だった。そこから解放されただけで幸せ。北京五輪に出て金メダルを獲る夢が近づいた感じがする」。表彰式後は、手にした金メダルを、スタンドで見守った父・アニマル浜口氏の首にかけた。その父は号泣したが、浜口は泣かなかった。「本当にうれしいときは涙は出てくれない」。8月の北京でその言葉を証明するための戦いが、この日始まった。

続きを表示

2008年3月21日のニュース