心にスキ?朝青龍 全勝ストップ

[ 2008年3月21日 06:00 ]

琴奨菊(背中)に寄り切られて初黒星を喫した朝青龍

 大相撲春場所12日目(20日・大阪府立体育会館)、全勝の朝青龍は過去7度の対戦で1度も負けていなかった琴奨菊に一方的に寄り切られ、まさかの黒星。連勝が11で止まった。1敗の白鵬も千代大海に敗れ、両横綱に土がつく大波乱の土俵となった。東西の横綱がともに敗れたのは03年九州場所2日目(武蔵丸、朝青龍)以来4年半ぶりで、青白時代では初。2敗を守った把瑠都と栃煌山を加え、荒れる春の優勝争いは一気に混戦模様となった。

【取組結果


 まさかの敗戦を象徴するような光景だった。琴奨菊のがぶり寄りの前にあっさり土俵を割った朝青龍は、土俵上で立ち尽くすと苦笑いを浮かべた。しかし、時間がたつにつれて怒りが全身を包み込む。座布団が乱舞する花道では目をひきつらせ、風呂場でも「チクショー!」と絶叫した。

 目の前で1敗の白鵬が沈み、4場所ぶりの賜杯が視界に飛び込んできた瞬間、心にスキが生まれた。過去7戦全勝の琴奨菊戦。負けるわけがないという油断が棒立ちの立ち合いを呼んだ。あっさり相手有利の体勢を許してしまってはさすがの横綱もなすすべなし。朝青龍は「(白鵬が負けて)逆に楽になったなという気持ちだった」と複雑な心境を吐露すると「立ち合いが失敗した。悔しいな。全勝したかったし…」と語り、ティッシュを畳に放り捨てた。

 わずかな心理の乱れも土俵上の所作に表れていた。時間いっぱいの時に呼び出しから差し出されるタオルの受け取り方を見た瞬間、朝青龍の関係者はこう指摘した。「きょうはタオルの取り方が雑ですね。こういう時にはよく負けることがあるんですよ」。悪い予感は的中してしまった。

 白鵬とは1差あるとはいえ、高校の後輩に連勝を止められたショックは大きい。北の湖理事長(元横綱)も「重くのしかかる1敗だね。朝青龍も決して楽ではないよ」と語る。13日目には28連勝中とカモにしている琴光喜戦。あえてそのことに触れなかった姿が最強横綱の動揺を表していた。

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2008年3月21日のニュース