槙野智章氏が語る素顔のイニエスタ　入団前に僕のスマホに日本語でメッセージ　うれしかった超一流の敬意

神戸時代に、練習に汗を流すイニエスタ（左）と槙野
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　昨年限りで現役を引退した元日本代表DF槙野智章氏（36）が本紙に特別手記を寄せた。神戸を退団するMFアンドレス・イニエスタとは昨年1年間、一緒にプレーした間柄。最も身近な場所で見てきた素顔のアンドレスとは――。

　まずは5年間、Jリーグでプレーしてくれたことに感謝しかありません。一つひとつのプレーにファンの方は魅了されたでしょうし、選手もすごさを感じ取っていました。僕が昨年、浦和から神戸へ移籍を決めた要因の一つは彼がいたから。一人の人間として、どんな人なのかを知りたかった。

　入団前にびっくりした出来事があります。僕のスマホにアンドレスから日本語でメッセージが届いたんですよね。一緒に移籍加入した汰木も扇原も同じように届きました。事前にクラブスタッフに僕の連絡先を聞いていたらしいのですが“本当に来たよ！”ってめっちゃうれしかったです。あれだけの選手が日本人選手に敬意を持って接してくれるのです。

　例えば、昨年の神戸は開幕から苦しい戦いが続きました。ロッカールームが隣同士だった僕とアンドレスは密にコミュニケーションを図る機会が多かったのです。選手ミーティングをする前に“マキ、僕はスペインで長くやってきて、スペインならこういう表現をするけど、日本やJリーグではどういう表現が良いの？”と相談されたこともあります。一つひとつの言葉を選んで使っていました。

　また、皆で食事に行った際には個々の契約状況や移籍組から見た神戸の印象、家族についてなどプライベートな部分も気に掛けていました。ピッチ外ですごくはっちゃけるタイプじゃない。でも神戸をもっと良くしたい、そのために主将として選手個々のパーソナリティーを知ろうとしてくれていました。

　今回は苦しい決断だったと思いますが、アンドレスのサッカー人生を考えれば、一番ハッピーな選択ではないでしょうか。本当にアンドレスにも、彼を獲得してくれた三木谷さんにも感謝です！　（元日本代表DF）