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成立学園 17年ぶり出場で笑顔の1勝!陣田の大会1号から3発 三笘に憧れる渡辺が歓喜の一発

[ 2022年12月29日 04:45 ]

第101回全国高校サッカー第1日・1回戦   成立学園3-2津工 ( 2022年12月28日    国立 )

<成立学園・津工業>前半、ゴールを決める成立学園・陣田(左)(撮影・西海健太郎)
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 開幕して1回戦1試合が行われ、84回大会以来3度目の出場となった成立学園(東京B)が津工(三重)に3―2で競り勝った。前半35分にMF陣田成琉(みのる=3年)の大会第1号で先制。後半4分には、MF渡辺弦(3年)が勝負を決定づける3点目を決めた。29日は1回戦の残り15試合が行われる。

 歓喜が爆発した。渡辺はゴールネットが揺れるのを確認すると、両手を広げながら走り出し、聖地の芝生に滑り込んだ。そのまま仰向けになり、喝采を一身に浴びた。「国立でプレーすることが夢の一つだった。最高の気分です」。満面の笑みで振り返った。

 2―0の後半4分。ペナルティーエリア内の左でパスを呼び込んだ。GKが距離を詰めたが、焦りはなかった。コースを見極めて、ダイレクトでシュート。「最初はファーに打とうと思ったが、直前でGKが少しそっちに動いたので、とっさにニアに打った」。わずかな隙間しかなかった近いサイドにボールを突き刺した。

 「三笘選手がめちゃくちゃ好きなんです」。プレー集を何度も見て動きを参考にしたドリブルで、チームを勢いに乗せた。前半19分、2人のマークに突っかけていって連続の切り返しで置き去りにした。「(W杯は)テレビで見ていたが、観客を魅了するプレーをしていた。自分もそういう選手になりたい」。競技場の視線は、成立学園の背番号9がボールを持つたびにくぎ付けになった。

(3年でトップへ/) 小学3年の時に父・正治さんに「弦のスピードは(ドリブルで)生きるよ」とアドバイスされ、スタイルを貫いてきた。高校入学後、1年で4軍、2年では3軍とその時の一番下のチームが定位置。しかし、ドリブルに光明を見いだした。全体練習後、毎日1時間半ほど1人で残って、マーカーをDFに見立ててボールを蹴った。オフには同級生に付き合ってもらい、公園で1対1。武器を磨き続け、3年の4月にようやくトップチーム入りした。

 「自分も(三笘のように)1ミリにこだわりたい。諦めない気持ちを改めて学んだ」。自分を信じ続けて先発の座をつかんだ最後の冬。“不屈のドリブラー”にとって、初戦突破は通過点。全ての人を魅了するプレーで、頂点だけを見据えている。(古田土 恵介)

 ◇渡辺 弦(わたなべ・げん)2004年(平16)6月23日生まれ、埼玉県出身の18歳。小1でサッカーを始め、父・正治さんの影響でドリブルが好きに。趣味に「フットサル」と書き込むほどのサッカー小僧で、将来の夢はプロになること。憧れの選手は日本代表MF三笘薫。好きなチームは英プレミアリーグのブライトン。1メートル76、69キロ。卒業後は明海大に進学予定。

 ≪大会第1号は陣田≫記念すべき大会第1号を決めたのは陣田だった。前半35分、味方のシュートのこぼれ球に素早く反応。ゴール前に飛び込んでいき、右足で先制点を呼び込んだ。ただ、シュートはこの1本のみで、チームも3―0から1点差に追い上げられた。「やりたいことはできたが、何回もあったチャンスを決めきるのが課題」。大きな1勝を手にしたが、頂点まで満足せずに突き進む。

 ▽成立学園(東京B) 東京都北区にある男女共学校。全国大会には05年度以来17大会ぶり3度目の出場で、当時の1年生に元日本代表MFで現在磐田に所属する大津祐樹(32)が在学していた。最高成績は03年度大会の3回戦。

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