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新潟のJ1昇格呼んだ「素早く攻める」意識

[ 2022年10月12日 04:45 ]

<新潟・仙台>J1昇格を決めガッツポーズの新潟・松橋監督
Photo By スポニチ

 【元アルビ・梅山チェック 8日新潟3―0仙台】仙台を3―0で下し、2試合を残してJ1昇格を決めた。約3万3000人の大観衆が詰めかけたホームで決めたその景色と興奮は、最初にJ1昇格を果たした03年をほうふつさせる瞬間だった。

 昨季J1にいた仙台を相手に、前半からボール保持とシュートの数で圧倒したもののスコアレス。千葉と舞行龍の2CBと高と島田の2ボランチが非常に安定していて、ビルドアップや中盤で縦パス横パスを意図的に使い分けながらの保持、そしてシュートにつながるパスまで完璧。最初のコントロールさえシュートできるところに置くことができれば、というシーンが何度もあった。守備時にDFが5人になってスペースを与えてくれない最終ラインが、ゴール前では特にわずかなコントロールミスも許してくれないことを改めて感じることができたことは、ポジティブに捉えたい。

 新潟のボール保持率がJ2リーグ1位と際立っているのは、前監督からの積み上げに他ならない。ただ、保持率の高さと勝率は必ずしも一致するものではなく、海外の主要リーグのデータはもちろん、過去2年の新潟の成績が証明している。そのことを最も理解しているのが今季の新潟だろう。当たり前だがサッカーの目的はゴールを奪い、ゴールをさせないこと。そのためにまず「素早く攻める」ことを忘れていない。 この日も多くのパスをつなぎながら前進した前半は、人数をかけた仙台の守備に無得点。後半奪った3得点のうち、先制点は素早く始めたスローインから約5秒で、3点目は自陣深くに蹴り込まれたボールをはね返したところから松田、秋山、ゲデスの3人のスプリントによって約14秒で奪っている。ちなみにピッチの縦幅は105メートル。100mの世界最速記録はウサイン・ボルトの9秒58である。

 ボールを保持するのは相手を観察し、動かし、スペースをつくり、使い、背後を取って、ゴールを奪うための手段。その具体的な方法をチームで共有されたものが戦術であり、そのモデルが明確だからこそ人に依存し過ぎず、誰が出ても変わらないスタイルで戦えている。そのチームづくりのプロセスが、昇格ロードに厚みを持たせたと言えるだろう。

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2022年10月12日のニュース