金子達仁氏が見た森保JAPANの敗戦 5年前は悲観していなかったが…今回は、違う。

[ 2021年9月3日 05:45 ]

W杯アジア最終予選A組   日本0―1オマーン ( 2021年9月2日    パナスタ )

<日本・オマーン>前半、競り合う日本代表FW大迫(中央右)(撮影・小海途 良幹)
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 5年前と同じ悪夢の黒星発進となった。7大会連続のW杯出場を目指すB組の日本は、大阪・パナソニックスタジアム吹田でオマーンと対戦。後半43分に失点し、0―1で敗れた。途中出場したMF久保建英(20=マジョルカ)ら攻撃陣は最後まで沈黙。16年9月に18年W杯ロシア大会アジア最終予選初戦でもホームでUAEに1―2と競り負けており、その再現となってしまった。7日(日本時間8日)に中立地のドーハで中国と第2戦を戦う森保ジャパンの現状について、スポーツライターの金子達仁氏(55)が寄稿した。 

 5年前の9月1日、UAEにまさかの逆転負けを喫した後のわたしは、スポニチにこう書いた。

 「データによれば、最終予選の初戦に敗れた国が本大会に出場したケースは過去に一度もないのだという。だからどうした?というしかない。勝ったのはUAEだったが、どちらかが強かったのかは、勝者たちが一番よくわかっているはず」

 あのときの気分を思い出している。そうだ、激怒していた。誰に?目茶苦茶(めちゃくちゃ)な判定を連発した審判と、肉弾戦しかできないチームにしてしまった監督に。

 ただ、悲観はしていなかった。日本がW杯へ行くことに関しては、微塵(みじん)の疑いも抱いていなかった。勝ったのはUAEだったが、同じことが次の対戦で起こるとは考えにくかったからだ。

 今回は、違う。

 日本の出来が良くなかった面もあるが、それ以上に、オマーンの良さが光った試合だった。日本の選手は2、3度、危険なエリアで敵を自由にするミスを犯したが、オマーンの側には皆無だった。

 考えてみれば、日本サッカー界の目が五輪に集中している最中、オマーンは長期の合宿を行っていた。この試合の準備に関しては、完全に上を行かれていたことになる。五輪の流れをそのまま引き継いだようで、その実、結構バラバラな状態だった日本に比べ、彼らはチームとして意志を通わせる努力を続けていた。鎌田や大迫の消し方、封じ方は敵ながら見事だった。

 では、日本はどうするべきだったのか。

 結果論から行けば、もう少し五輪のメンバーを中心にチームを組むべきだったのかもしれない。柴崎の才能に疑いはないが、遠藤との連動性は感じられなかった。植田は強さを発揮する以前に粗さが目立った。何より、最近の日本の強みだったユニットがほとんど存在していなかった。

 ただ、そうした結果論や戦術論とは別に、わたしが一番残念だったのは相手の気持ちを読もうとする空気の希薄さだった。

 PKだと思ったものがVARで取り消される。わたしだったらショックだし、審判に対する不満も募る。まして、身体(からだ)に密着させていたとはいえ、ボールは明らかに手に当たっていた。審判によっては十分にPKもありえる場面だった。

 オマーンの中には、間違いなく集中の切れた選手がいたはずだった。

 思い出したのは、06年W杯の対クロアチア戦のことだ。川口能活がPKを止めた。なのに、そのあとも日本は淡々と試合を進めた。日本に縁のある人物ということでドイツのテレビ局に呼ばれていたリティは激怒した。

 「なぜクロアチアの心理を想像しないんだ!」

 どれほど身体が重くても、あそこは畳みかけなければいけない場面だった。オマーンのまとまりを、一瞬にして粉砕する最高にして唯一のチャンスだった。だが、畳みかけようとしたのは、長友ただ一人だった。なぜサイドバックの彼が相手ゴール前でダイビングヘッドをしたのか。他の選手たちは考えてほしかった。

 最終予選は10試合ある。1敗は必ずしも致命傷ではない。だが、グループ4番目の実力と見られていたオマーンに、ホームで互角の戦いをされてしまった衝撃は小さくない。白状すると、W杯フランス大会の最終予選以来となる久々の痺(しび)れが、わたしの全身に広がりつつある。(スポーツライター)

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