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リーグ戦2位に続き天皇杯も一歩及ばなかったG大阪 収穫と課題はどこに、担当記者が分析

[ 2021年1月3日 05:30 ]

<川崎F・G大阪>G大阪は最後に猛攻も及ばず(撮影・篠原岳夫)
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 第100回天皇杯決勝が1日に国立競技場で行われ、G大阪は川崎Fに0―1で敗退。5年ぶりの優勝を逃した。ただ2年連続で残留争いを展開していたチームにとって、復活の兆しを見せた20年シーズン。担当記者が収穫と課題を分析する。

 宮本体制3年目。リーグ2位、天皇杯準優勝は就任後最高成績となった。その原動力には、大きく分けて3つの要素が挙げられる。

 (1)守備力の向上
 「G大阪=攻撃的サッカー」。05年のリーグ初優勝を境にクラブカラーとして追求してきたが、現役時代はDFとして2度のW杯に出場した宮本監督は18年途中の就任後、守備面の改善に着手した。19年シーズンはブロックを作った際の守備網を整え、20年シーズンはハイプレス戦術も導入。リーグ開幕・横浜戦では見事ハマり、勝利を収めた。指揮官は「個人的な意見を言えば4―3より1―0の方が良い」。昨年12月末に指揮官自身のサッカー観を打ち出したように、守備の安定感がベースで最近3年間では最少の42失点。粘り強い守備は新たなカラーとなり、天皇杯決勝でも発揮された。

 (2)世代交代の成功
 昨年10月に長年クラブを支えた元日本代表MF遠藤保仁がJ2磐田に期限付き移籍したが、大卒新人MF山本悠樹がレギュラーに定着。FKキッカーも任されるなどリーグ27試合2得点2アシストをマークした。指揮官は「ヤット(遠藤の愛称)と同じプレーは誰にもできない。個々の持つ色を出して試合に勝つ作業をしないといけない。そこのトライは良くしてくれた。若い選手の目の色も変わっていた」。大卒2年目DF高尾瑠も欠かせない戦力に成長。また新型コロナ禍で交代枠が5人に増えたことによって、MF川崎修平やFW塚元大らアカデミー出身の19歳コンビも出場機会を得た。

 (3)“異分子”の加入
 昨年2月にロシアW杯に出場した元日本代表DF昌子源が電撃加入。年齢関係なく積極的に意見や厳しい要求をするキャラクターで元来、おとなしい選手が多かったG大阪に“新風”を吹かせた。MF倉田秋が「ピッチ内外で選手同士が意見し合う回数が増えた」という通り、コミュニケーションの深まりはチームの団結を高めた。

 ブラッシュアップされた部分も多いがタイトル奪回へ課題も残されている。天皇杯決勝後にも指揮官、選手が挙げたように攻撃面が課題として残った。宮本監督が設定した20年シーズン総得点は「60」だったが、現実は「46」にとどまった。シーズン中盤以降はFWパトリックの強さと高さに依存するシーンが多く、2桁得点選手は4年ぶりに0人。個人に依存するのではなく、ビルドアップの仕方や連係面を確立させる必要がある。ただ攻撃への比重を重くしすぎて、培った守備の強度を失っては意味がない。守備力を維持しつつ攻撃でリスクを冒せるか。21年シーズン、宮本監督にはより難しいタスクが求められる。(G大阪担当・飯間健)

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2021年1月3日のニュース