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大久保嘉人 “憲剛さんに金メダルを”みんなの思い伝わった

[ 2021年1月3日 05:30 ]

第100回天皇杯決勝   川崎F1―0G大阪 ( 2021年1月1日    国立競技場 )

<川崎F・G大阪>天皇杯を掲げる中村(中央)と喜ぶ川崎Fイレブン(撮影・篠原岳夫)
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 【5シーズン共闘 大久保嘉人観戦記】選手がみんな「憲剛さんのために」と思いながらやっているのが伝わってきた。引退を表明していてこれが最後の試合で「優勝して憲剛さんの首に金メダルを」と思うのは当然で、それぐらいチームで存在が大きい選手だということ。憲剛さんがベンチにいるだけでも雰囲気が変わり、一体感が出る。もちろん決勝戦も出たかっただろうが、みんなの気持ちは伝わっていたはずだし、みんな憲剛さんがいたから優勝できたと思っているはずだ。

 憲剛さんは川崎Fで長くやっているからチームのリズムを知り尽くしている。その上で他の選手との違いをつくれる選手で、そういう選手は他にいない。自分が神戸から川崎Fに移籍してきたとき、一番感じたのは「ボールがほしい」と思ったとき、絶妙のタイミングですぐにボールを預けてくれること。中盤でパス交換していて相手の守備に隙間ができた瞬間、パスで攻撃のスイッチが入れられる。気持ちよく攻撃できて、「サッカーはこれだ」と感じたことを思い出す。川崎Fの1年目に26点取って得点王になれたが、私が復活できたのは憲剛さんのおかげだった。

 でも、不思議なことに憲剛さんと真剣にサッカーの話をした記憶はない。2人で食事しながら「歌手デビューしようか」などという笑い話ばかりだ。今は「お疲れさまです」という言葉しかない。ただ、憲剛さんは次を見ているはずで、違う立場からサッカー界をいい方向に引っ張っていってほしい。川崎Fや日本代表の監督もやってほしいが、日本サッカー協会の会長やJリーグのチェアマンなどもいい。日本のサッカーを盛り上げるためにも、これからが真価を発揮するときだと思っている。(元日本代表FW、13~16、18年川崎F所属)

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2021年1月3日のニュース