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元なでしこ・永里 男子チームデビュー 後半40分に登場 いきなり兄・源気弾の起点

[ 2020年10月19日 05:30 ]

神奈川県社会人2部Dブロック   はやぶさイレブン3-1山王FC ( 2020年10月18日 )

<はやぶさイレブン・山王FC>後半、途中出場しヘッドでゴールを狙う永里優(撮影・会津 智海)
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 サッカー元女子日本代表で、米女子プロリーグNWSLのレッドスターズから男子の神奈川県社会人2部「はやぶさイレブン」に期限付き移籍したFW永里優季(33)が18日、公式戦デビューを果たした。第3節の山王FC戦の後半40分すぎからアディショナルタイムを含めて約8分間出場し、3―1の勝利に貢献。男子チームでプロ契約の女子選手が初めてプレーする、歴史的な日となった。

 なでしこジャパンで世界一に輝いた永里が、新しい扉を開いた。10月18日、午後8時44分。朱色のスパイクで白線の中に足を踏み入れた。前線へ駆け上がる姿に、敵ベンチ付近からも「速い!」と声が上がる。男子チームでプロ契約の女子選手がプレーするのは初めて。ただ、ピッチの中に性別の違いは関係なかった。

 「今までのサッカー選手としての、一部の一試合という感覚だった。新たな環境で一歩を踏み出せたという意味では、自分自身にとっても、これからまたステップアップしていける大事な一歩」

 新しい人生の最初の仕事は、後半アディショナルタイム。前線にパスを通し、兄・源気の追加点の起点となった。コロナ禍でNWSLが7月に終了した際。相談し、縁を結んでくれたのが兄。「お兄ちゃん、結構決め切れていない場面があったので。最後あれだけは決めてくれと願って」と出したパスで“恩返し”した。

 出場時間は約8分間。女子とは異なる切り替えの早さに、息が上がる場面もあったが「試合時間を重ねれば慣れてくるのかな」と前を向く。「ボールに関わる回数もそれなりにあって、ゴールに絡むようなプレーだったり、自分がイメージしていたようなプレーが自然と出せた」。充実感もにじみ出た。

 先月10日の加入会見後、元日本代表MF福西崇史氏をはじめ、多くのサッカーOB、OGから「応援している」と声が届いたという。性差を超えた多くの希望を背負い、サッカー界の歴史を変える一歩を踏み出した。(波多野 詩菜)

 ◆永里 優季(ながさと・ゆうき)1987年(昭62)7月15日生まれ、神奈川県厚木市出身の33歳。FC厚木レディース―日テレ・メニーナを経て01年日テレ入り。10年にポツダム(ドイツ)に移籍し、同年の欧州女子CL優勝に貢献。チェルシー(イングランド)などを経て17年にレッドスターズ(米国)加入。日本代表では04年4月のアテネ五輪アジア予選タイ戦でデビュー。07、11、15年W杯出場。08、12年五輪出場。国際Aマッチ通算132試合58得点。1メートル68、60キロ。利き足は右。

 ▽はやぶさイレブン 神奈川県でスポーツクラブを展開するSCDのJリーグ参入プロジェクトとして19年に発足。神奈川県リーグ3部に参入し、今季は2部に昇格した。今年2月に元日本代表FW永井雄一郎が加入。監督は鹿島、浦和などでプレーした阿部敏之氏。永里の妹・亜紗乃は同クラブでサッカーとゴルフを融合させたフットゴルフチームに所属している。

 ▽男子選手とプレーした主な女子選手のデビュー戦

 ☆ゴルフ宮里藍 05年12月15、16日に日本男子ツアーのアジア・ジャパン沖縄オープンに出場。通算16オーバーで120選手中最下位となり予選落ち。

 ☆野球吉田えり投手(関西独立リーグ神戸) 09年3月27日、大阪との開幕戦で5点リードの9回に登板し打者2人と対戦。先頭打者に四球を与えたが、次打者を97キロ直球で空振り三振に斬った。

 ☆競馬藤田菜七子 16年3月3日、川崎競馬で6鞍に騎乗。初騎乗の1Rはブービーの8着も、3戦目の5Rは写真判定で頭差の2着につけた。

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