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なでしこ“澤ロス”厳しい現実…豪に完敗でリオ五輪予選黒星発進

[ 2016年3月1日 05:30 ]

<日本・オーストラリア>背番号10が泣いている…。後半、3点目を決められぼう然とする大儀見

 “澤ロス”の現実を突きつけられた。女子サッカーのリオデジャネイロ五輪アジア最終予選が大阪で開幕し、なでしこジャパンはオーストラリアとの初戦に1―3で敗れた。昨年12月に現役引退した澤穂希さん (37)の背番号10を受け継いだFW大儀見優季(28=ドイツ・フランクフルト)が1点を返したが、追加点を奪えなかった。10日間で5試合をこなす短期決戦の中、痛恨の黒星発進。6カ国中5位スタートとなった日本は、2日に韓国との第2戦に挑む。

【試合結果 リオ五輪最終予選 なでしこジャパンメンバー】

 いきなり崖っ縁に立たされた。4大会連続となる五輪出場への道のりがあまりに険しくなった。ホーム開催の最終予選は最近5試合で4勝1分けだったオーストラリアに1―3の黒星発進。「相手の勝利に対する気持ちが勝っていた。サッカー自体は悪くなかったが、結果として相手が3点を入れ、我々は1点を入れることしかできなかった。切り替えて一戦も落とせないという気持ちで戦うしかない」。佐々木監督の表情は厳しかった。

 前半25分、クロスからデバンナに頭で合わせられ先制点を献上。これを受け、指揮官は前半40分に大野に代えて早くも切り札の横山を投入する采配に出る。だが劣勢を強いられた上に不運が重なる。直後の同41分、阪口のパスが主審に当たってコースが変わったのを機に追加点を決められた。大儀見のゴールで1点差に迫っても後半33分に再び突き放された。

 今予選5試合の中で、指揮官は初戦を最も重要視していた。脳裏に残るのがW杯カナダ大会の出場権を懸けた14年のアジア杯。1次リーグ初戦のオーストラリア戦で0―2から引き分けに持ち込み、勢いを得たままW杯切符を獲得した。「初戦は大事になる」。懸ける思いが強かったからこそショックも大きかった。

 “澤ロス”も吹き飛ばせなかった。国際Aマッチ通算205試合83得点の澤さんが昨年12月に現役引退。長年チームを引っ張ってきたレジェンドが不在となり、初めての公式戦だった。「(澤さんが)近くにいてパワーを送ってくれたけど、初戦に勝てなくて申し訳ない」と指揮官。オーストラリアのロングボールやミドルシュートへの対策は練ってきた。だが、予想外の鋭いパスに対応しきれずサイドを崩された。もし、百戦錬磨の澤さんがいれば、時に体を張り、時に相手をいなし、リズムを徐々に取り戻せたかもしれない。

 五輪出場を懸けた予選で黒星スタートとなったのは、アトランタ五輪の切符を争った95年の第2回世界女子選手権ドイツ戦(0―1)以来21年ぶり。6チーム中上位2位のみの狭き門でまさかの5位に沈んだが、まだ終わったわけではない。

 澤さんとともになでしこを支えてきた主将の宮間は「これが自分たちの実力。分かっていたことだが、まだまだ(力が)足りない。ここから4連勝することを考えて準備したい。4連勝しか道はない」と前だけを向いた。川澄はブログで「初戦での黒星、本当に後がありません。次は切り替えて絶対勝ちます」と悲壮な覚悟を見せた。勢いに乗れるかどうかが勝負の短期決戦。新生なでしこの真価が今、試される。

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2016年3月1日のニュース