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福岡5年ぶりJ1昇格!井原監督 就任1年目で劇的再建

[ 2015年12月7日 05:30 ]

5年ぶりのJ1昇格を決め喜ぶ福岡イレブン

J1昇格プレーオフ決勝 福岡1―1C大阪

(12月6日 ヤンマー)
 J2の3位アビスパ福岡は4位C大阪との決勝を、1―1で執念の引き分け、5年ぶりにJ1復帰を決めた。完全アウェーの中、後半42分にMF中村北斗(30)が値千金の同点弾。就任1年目の井原正巳監督(48)は前年16位に終わったチームを劇的に再建した。プレーオフ導入4年目。下克上のジンクスを打破し、3位チームが初めて昇格した。

 失いかけた夢を奪い返した。0―1の後半42分、左からの折り返しに中村北が右足を振り抜いた。昇格への思いを込めたシュートがネットに突き刺さる。福岡は持ち味の粘りを発揮し、値千金の同点ゴール。胴上げされ、3度宙に舞った井原監督の目には光るものがあった。

 「苦しい戦いになるのは覚悟の上だった。今季の集大成と位置づけた試合で引き分け、何とか昇格することができた」

 アジアの壁と言われた元日本代表主将の指揮官は「W杯への出場権を獲得できたことはサッカー人生で一番大きな出来事」という。修羅場続きだったW杯フランス大会までの道は貴重な経験となった。97年のW杯アジア第3代表決定戦でイランに勝ち、日本サッカー界の悲願を達成。「みんなが目標に向かって、パワーを集結できた。クラブでもそういう思いが必要。長いシーズン、みんながいかにぶれずに戦えるかが大事」との信念を貫いた。

 手堅い試合運びでリーグ戦の失点は16位だった昨季の60から37に減った。リーグ終盤からこの日の決勝まで14戦無敗。大崩れしない強さがあったからこそ、指揮官はこの日の大一番でも慌てなかった。「ビハインドになった場合も準備していた。どこで2トップにするかだけだった」。この策がはまったのが終了間際。後半から出場したFW坂田から同じく途中出場のFW金森へ。そこから左サイドに展開し、同点ゴールが生まれた。

 「8月にホームで磐田に勝ったとき、昇格できると心の中で思った。選手はたくましく、勝負強くなった」と井原監督は選手を頼もしげに見つめた。ただ、来季は厳しい戦いが待ち受ける。J1に復帰して臨んだ、06年と11年は1年でJ2に逆戻り。「すぐに落ちるようでは意味がない」と中村北。井原監督も「J1は甘くない。福岡旋風を起こせるように準備していければ」と先を見据えた。

 ▽アビスパ福岡 1982年創部の中央防犯ACM藤枝サッカークラブが前身。95年に福岡に移転して福岡ブルックスとなり、翌年に現チーム名に改称してJリーグに参戦した。J1とJ2を行き来し、経営難に陥ったが、不動産賃貸仲介大手のグループ会社の出資により危機を回避。アビスパはスペイン語でハチの意味。本拠地は福岡市のレベルファイブスタジアム。

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