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なでしこ 想定外続出でイメージ白紙に…人工芝、開く屋根

[ 2015年6月7日 08:07 ]

練習前、ホワイトボードを使用して選手たちに指示を出す佐々木監督

 W杯カナダ大会に出場するなでしこジャパンは5日(日本時間6日)、3日連続となる非公開練習を行った。8日(同9日)の1次リーグ初戦スイス戦では、バンクーバーの屋内競技場BCプレースの開閉式屋根が開くことが判明。昨年10月のカナダ遠征で同国代表と対戦した際は屋根は閉じており、予行演習で膨らませたイメージは白紙となる。連覇を狙うなでしこにとって思わぬ逆風が吹いた。W杯は6日(同7日)にカナダ―中国戦で開幕する。

 なでしこに待ち構える敵は、人工芝だけではなかった。BCプレースで行われるスイスとの1次リーグ初戦は開閉式の屋根が開かれることになった。「天候で雨の可能性が少なくなったから、屋根が開くと(主催者から)言われた」と関係者。6月のバンクーバーは午後9時すぎまで太陽が沈まず、直射日光が照らす。快晴予報の8日の試合は現地時間午後7時キックオフだが、さながらデーゲームとなる。

 綿密に行われた予行演習が白紙になる。昨年10月のカナダ遠征でカナダ代表と対戦した際には、開閉式屋根を稼働させる電力の費用を抑えたため、屋根は閉じられた状態でのプレーだった。空調設備が効いた場内は乾燥。スタッフが水分を取るタイミングなど細かい注意点を洗い出したが、その情報も無意味になってしまう。太陽が出ている際のピッチ状況、太陽の位置や日陰の面積などのイメージは全くない。

 なでしこに有利とみられる人工芝も、逆に脅威となる。3日に報道陣に公開されたBCプレースの芝は張り替えが完了したばかり。昨年10月に体感した芝より長くなって、ボールが浮き、止まりやすくなっている。なでしこは4日からの練習で同会場に近い芝の練習場を使っているが、佐々木監督は「パスがダフり気味」と話す。ショートパスではなくハイボール中心の空中戦となれば、スイスよりサイズの小さい日本に不利に働く。

 試合前とハーフタイムに散水を行う予定で、本来、水を含むピッチはボールが転がりやすくなりショートパスをつなぐ日本にプラスに働くはずだったが、屋根が開くことですぐに乾燥する見通し。カナダ出発前の国内の親善試合2戦は、試合前にあえて散水して濡れたピッチへの感覚をつかんだが、その効果も半減しそうだ。

 室内から一転、予想外の“天”敵と向き合うが、大野は「対応できるのが技術だし、それは日本の特長」と言う。逆境を乗り越え強くなるなでしこの姿を天下に知らしめる。

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