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なでしこ アジア杯初V 海外組欠く中、宮間がけん引

[ 2014年5月26日 05:30 ]

<日本・オーストラリア>カップを掲げる宮間(手前)とイレブン

女子アジア杯決勝 日本1―0オーストラリア

(5月25日 トンニャット・スタジアム(ホーチミン))
 女子アジア杯決勝が25日、ベトナムのホーチミンで行われ、なでしこジャパンはオーストラリアを1―0で撃破し、14回目の出場で初優勝を成し遂げた。前半28分にDF岩清水梓(27=日テレ)が頭で決勝点。海外組の一部主力を呼べない状況の中、大会MVPに選ばれた主将のMF宮間あや(29=岡山湯郷)を中心にチーム一丸で悲願を達成した。なでしこはフェアプレー賞も獲得して“3冠”に輝き、連覇を狙う来年6月開幕の女子W杯カナダ大会に弾みをつけた。

 なでしこが念願の頂点に立った。歓喜に沸く優勝セレモニー。MVPに輝いた宮間が誇らしげにトロフィーを天に突き上げた。「厳しい戦いだったけど、優勝できてうれしい。本当にみんなの勝利だと思う」。重圧から解き放たれた主将から、思わず笑みがこぼれた。

 一進一退の攻防となった大一番。決勝点は主将のCKから生まれた。前半28分。宮間が左ショートCKで宇津木にパスを送り、宇津木が高い弾道のクロスを上げる。ファーで構えていた岩清水が反応し、ゴールラインぎりぎりの位置から頭で合わせた。相手に当たったボールはクロスバーを叩き、ゴール中央へと吸い込まれた。中国との準決勝でも延長後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げた岩清水は、またもヘディング弾で勝負を決めて「欲しいタイトルだったのでうれしい」と笑った。

 殊勲のゴールは岩清水だが、初優勝の立役者は主将の宮間だった。日本は11年W杯で優勝し、12年ロンドン五輪で銀メダル。輝かしい実績を積み上げたが、昨年7月の東アジア杯で3連覇を逃した。決勝で韓国に敗れると、宮間は人目もはばからず号泣。「まず代表としてあるべき姿なのか見直すべき」と、チームに世界女王としてのメンタリティーを求めた。世代交代を進めながら、かみ合わない歯車。W杯優勝を支えた主力組と経験に乏しい新戦力の間で温度差が生まれていた。

 大野(アーセナル)ら海外組の一部主力を呼べず、初代表組が5人を数えた今大会。宮間はプレーだけでなく陰でもチームを支えた。控え組の練習に顔を出して準備や後片付けを行い、23日の練習では控え組の個人用ペットボトルに一人一人、メッセージを書いた。丸山のボトルには「カリちゃん(丸山) GOAL ドリブル GOAL できること知ってます」と記した。主将の繊細さが日本を一つにした。優勝セレモニーには選手全員が手をつないで登場。強固な結束を象徴した。

 前日(24日)に56歳の誕生日を迎えていた佐々木監督は1日遅れのお祝いに「選手がよく粘りながら頑張った。それに尽きる。これを機にW杯へつなげていきたい」と目を細めた。たくましさを増したなでしこの花が、ベトナムで咲き誇った。

 ▽女子アジア杯 75年にアジア女子選手権として開催され、06年の第15回大会から現在の名称に変わった。隔年で行われていたが、10年から4年に1度の開催に変更した。77年大会はFCジンナンが日本から単独チームとして参加。日本代表としては81年の第4回大会に初参加し、今回で14回目の出場。前回大会までは準優勝が4度で3位が5度だった。今大会は8カ国が参加し、日本、オーストラリア、中国、韓国、タイの上位5カ国が来年の女子W杯カナダ大会の出場権を獲得した。

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