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松田さん急死 大黒柱失い空中分解寸前…松本山雅 J2への宿題(2)

[ 2011年12月16日 12:20 ]

7月にJ2栃木からレンタル移籍した船山はリーグ戦17試合に出場し5得点と活躍

 開幕から1カ月、松本山雅のGMから転身した加藤新監督は厳しい態度で選手に接した。人間味にあふれ“兄貴分”として慕われた吉沢前監督とは対照的だった。「たとえ嫌われようが、Jで戦えるように鍛えることが自分の役割。それが選手自身のためにもなる」との信念からだ。

 選手により高いレベルのプレーを求め、戦う姿勢を植え付けた。試行錯誤が続いたシステムも4バックで固定され、大黒柱・松田直樹さんのコンディションも気温の上昇とともに上向いた。加藤監督就任直後からチームは7戦負けなしと一気に上昇気流に乗った。

 すべてが順調に進み始めたかに思えたが、突然の悲劇が襲う。8月2日の練習中に松田さんが急性心筋梗塞で倒れ、その2日後にこの世を去った。「マツを中心につくってきた」(加藤監督)チームにとって、戦力面のみならず、精神面でも大きな痛手となった。

 その後は勝ったり負けたりを繰り返し、9月18日のホーム高崎戦で今季2度目の連敗を喫すると、8位に後退。統一感に欠ける戦いぶりに、ある選手は「(前の選手と後ろの選手で)2つに分かれている」と口にし、チーム内には不協和音が生じた。

 昇格がはるか彼方にかすみ、チームは空中分解寸前…。絶体絶命かに思われたが、崖っ縁に追い込まれたことで、逆にチームがまとまった。松田さんの悲願でもあったJ2昇格に向け、思いを一つにしたイレブンは見違えるようなプレーを見せ始める。途中加入のDF飯尾、MF大橋、FW船山も中心選手として活躍し、終盤戦の12試合で9勝2分け1敗と驚異的な勝率を記録。最終戦で奇跡的に昇格圏内に滑り込んだ。

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2011年12月16日のニュース