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「選手が幼稚」Jに不可欠な精神的強さ…松本山雅 J2への宿題(3)

[ 2011年12月16日 12:22 ]

12月4日、J2昇格を確実にし、大勢のサポーターとともに喜びを爆発させる松本山雅イレブン

 J2昇格を決めた松本山雅。来季は最高峰のJ1を目指し、さらに厳しい戦いが待っている。ただし、現有勢力では苦戦は必至だ。昨年のJFLで独走優勝を果たした鳥取でも、今季はJ2で8勝7分け23敗の19位。J2で上位を狙うためにはさらなるレベルアップが不可欠だ。

 ホンダロックとの最終戦(4日)後、DF飯尾は言った。「昇格はうれしい。だけど、本当はもっと前に決められていたはず」。この一言に今季の戦いぶりが集約されている。

 天皇杯でJ2横浜、J1新潟を続けて撃破したり、長野パルセイロとの信州ダービーでは3戦全てで先制を許しながら2勝1分けの成績を残すなど、大一番にはめっぽう強く、驚異の粘り腰を発揮した。一方で、淡泊な試合運びに終始して下位チーム相手に取りこぼす試合も目立ち、試合によって落差が激しかった。

 負けはおろか引き分けも許されないという状況に追い込まれた残り5試合は素晴らしいパフォーマンスで5連勝を飾ったように、本来の実力はJFLでは頭一つ抜けていた。開幕から同じ戦いができていれば、飯尾が言うようにもっと早くに昇格を決め、優勝争いに加わることも十分に可能だっただろう。

 加藤監督は「いつも同じようにできないのは、選手が未熟で幼稚だということ」と、精神面の成長を求める。天皇杯で見せた高いポテンシャルを、シーズンを通して発揮できるようになれば、来季J2で上位進出も決して不可能ではない。

 S級ライセンスを所持していない加藤監督の後任選びも急務だ。J2の開幕は3月第1週と、今季より約1カ月半早い。開幕から出遅れた今季の反省を生かし、限られた準備期間を有効に使う必要がある。柴田コーチの内部昇格か、外部招へいか。いずれにしろ、一刻も早い新体制の確立が求められる。

 04年8月に「近い将来のJリーグ入り」を宣言し、本格強化に乗り出してから7年。信州サッカーの歴史を塗り替え続け、来季はついにJの舞台に立つ。しかし、これで終わりではない。さらなる高みを目指し、山雅の挑戦はこれからも続く。

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2011年12月16日のニュース