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「5分間は座り込んだ」33歳デービス夢の代表

[ 2010年10月12日 06:00 ]

 イングランド代表の“オールドルーキー”が臨戦態勢を整えた。欧州選手権予選は12日に22試合が行われる。G組のイングランドはホームでモンテネグロと対戦。33歳で初招集されたFWケビン・デービス(ボルトン)は出場すれば戦後2番目の年長デビューとなる。FW陣に故障者続出の中、チームを救う切り札となるか。注目が集まる。

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 33歳と200日で迎える晴れ舞台。デビューを夢見るデービスは「出場のチャンスがあればベストを尽くす」と誓った。
 サッカーの母国イングランドで代表のユニホームに袖を通す…。あきらめたはずの夢だった。U―21代表では3試合に出場。03年夏のボルトン移籍後はフィジカルの強さを生かし、中田英寿が在籍した05~06年シーズンも含めてリーグ戦で毎年30試合以上に出場してきたが、フル代表とは無縁だった。初招集の連絡時は自宅でゴルフ中継を観戦中。突然の知らせに「かつがれたかと思って5分間は座り込んだ」と振り返る。だが、テレビでも名前が挙がり、夫人は号泣。現実と確信した。
 空中戦に強くポストプレーでも力を発揮。相手DFを引きつけて周囲を生かす能力にも定評がある。今回の招集ではスタイルが重なるザモラが負傷。デフォー、アグボンラホーら他のFW陣にも故障が続き、W杯後に代表を退いたヘスキーはカペッロ監督からの復帰要請を断った。そしてめぐってきたチャンス。ボルトンのコイル監督は「来る日も来る日もハイレベルなパフォーマンスを披露してきたことが報われた」と喜んだ。
 「W杯の時は(イングランドの応援に備え)家の飾り付けをするためにスーパーマーケットに行ったりしてたけど、自分が代表の一員になるなんて…」
 戸惑いもあった初招集だが、プレーに迷いはない。闘争心むき出しで相手に激しく当たり、過去7季でリーグ最多ファウルを5度記録した。今季もここまで首位独走の26回。「人を傷つけようとしたことはないけど(ボール奪取の可能性が)五分五分なら行く」。ファウルも多いが、被ファウル数も昨季リーグ2位。激しい競り合いを恐れない生粋のファイターだ。
 モンテネグロ戦はベンチスタート濃厚ながら、出場すれば1950年にコンプトンが38歳64日で出場して以来、戦後2番目の年長デビュー。試合前日にベントが股関節負傷で離脱し、控えFWが1人となって途中出場の可能性は飛躍的に高まったが「ただ記録を残しただけで終わりたくはない」と言い切る。プレミア通算382戦76得点の“ルーキー”は、ゴールとともに代表定着を狙う。

 ◆ケビン・デービス 1977年3月26日、英国シェフィールド生まれの33歳。シェフィールドUを経てチェスターフィールド入りし、97年のFA杯4強に貢献。サウサンプトン、ブラックバーンなどを経て03年夏にボルトン入り。プレミアでのシーズン最多得点は09年の12得点。今季は7戦2得点。1メートル83、81キロ。

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2010年10月12日のニュース