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外国人天国で奮闘する“イングランド代表の未来”

[ 2009年9月15日 06:00 ]

 13日のバーミンガム戦で3連勝を記録したプレミアリーグのアストンビラ。「イングランド代表の人材バンク」とも言われるチームとは?

 後半40分に試合を決めたのはイングランド代表でW杯を目指す2人だった。ドリブル突破でFKを稼いだA・ヤングが自らゴール前にボールを上げ、カレウの折り返しをアグボンラホーが頭で決勝点。アストンビラが3連勝で勝ち点を9とし、1試合少ない中で前節8位から6位に浮上した。

 「得点力がある選手がそろっているし、可能性はあると信じていた」とオニール監督。イレブンの能力に自信を示した。

 W杯予選明けで代表から戻ったFWヘスキーを温存したが、地元イングランドの6選手が先発した。巨額の放送権収入を背景に国外から選手を買いあさる外国人天国のプレミアリーグで、今節の平均4・45人を上回る数値。所属するイングランド人選手22人のうち17人が年代別を含めた代表経験者という密度が濃い顔ぶれが特徴だ。現在も代表主力ヘスキーを筆頭に10人近くがW杯に向けた候補選手。カペッロ代表監督も「アストンビラは代表の未来」と認める。

 異色の選手構成は06年夏に就任した指揮官の哲学が生んだ。自身は北アイルランド出身だが「イングランドのクラブは母国の心を持った選手を獲得すべき。ピッチでは単一言語で意思伝達をすることが理想」と訴える。就任後3年で地元選手に投じた補強費はリーグ最多の133億円。他クラブと一線を画した補強路線は他クラブの若手も注目する。今夏マンチェスターCやトットナムのオファーを断ってリーズからアストンビラに加入したU―19代表MFデルフは「若く有望な地元の選手が多く、監督が素晴らしい選手に育てている」と決断の理由を明かす。

 昨季は終盤失速して6位に終わったが、一時は欧州CL出場圏の4位に入り、今季は4強切り崩しが期待される。イングランド代表の底上げにもつながるアストンビラの戦いから目が離せない。

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2009年9月15日のニュース