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フェアリー 「4本投げ」乱れ8位…畠山は現役引退を表明

[ 2016年8月22日 05:30 ]

新体操団体予選 リボンの演技で、「4本投げ」を鮮やかに決めるフェアリージャパン

リオデジャネイロ五輪新体操・団体決勝

(8月21日 リオ五輪アリーナ)
 8チームによる団体決勝が行われ、日本(杉本、松原、畠山、横田、熨斗谷)は合計34・200点で8位だった。1種目目のリボンで大技の「4本投げ」が乱れるなど16・550点で最下位の8位と出遅れ、2種目目のフープ・クラブでは17・650点。金メダルを目標に掲げていたフェアリージャパンだったが、表彰台に届かなかった。ロシアが36・233点で5連覇を達成した。 

 13メートル四方の夢のフロアで、日本の妖精が全力を尽くした。1種目目のリボン。6月にクラシック音楽からサンバをイメージしたリズミカルな曲調に変更し、ブラジルの観客の心をつかんだ。大歓声に乗って軽やかに舞い、最後に「4本投げ」に挑む。20日の予選では杉本主将が「何十本、何百本もやった」と練習を信じて仲間に投じ、ほぼ完璧に成功。だが、勝負の決勝では大技が乱れて8位と出遅れ、2種目目のフープ・クラブでの逆襲も実らなかった。それでも杉本主将は「リボンではミスがあったが、フープ・クラブは諦めなかった。後悔はない」と言い切った。

 04年アテネ五輪出場は逃したが、08年北京五輪10位、12年ロンドン五輪は7位。昨年の世界選手権では種目別リボンで日本勢40年ぶりの表彰台となる銅メダルを獲得した。オーディションでメンバーを入れ替えながら活性化を図り、王国・ロシアのサンクトペテルブルクで長期合宿を行ってきた。1日8時間にも及ぶ猛練習。涙を流した回数は数知れない。これまでの全てを、5人は演技に込めた。

 昨年のミス日本特別賞に輝いた畠山は、12年ロンドン五輪に続いて2大会連続の出場。チーム最年少だった4年前とは立場が変わった。「私が引っ張っていかないといけない」。小学校の卒業文集には「オリンピックに出たい」と書いたが、腰痛、スランプに苦しみ、中学で競技をやめると決めた。

 中学3年、09年10月の全国大会は推薦での出場だった。「実力がないかもしれない。ミスしたらみんなに迷惑がかかる」と出場を嫌がる畠山を、中学の保健室の先生の言葉が救った。「最後の大会、自分のために踊ってみたら」――。心は軽くなった。演技する自信と喜びを取り戻し、その年にフェアリージャパンのオーディションに合格。ロンドン、リオで小学生の描いた夢は現実になった。「今回の五輪で最後と決めていた。これで終わりです」。すべてを出し切った畠山は、現役引退を表明した。

 今年1月の初練習。五輪イヤーの抱負として、全員が「金メダル」と口をそろえた。結果は表彰台にも届かず、まるでフェアリーテール(おとぎ話)のような美しい結末にはならなかったが、日本の妖精は夢舞台で完全燃焼した。

 ▽リボン4本投げ 日本オリジナルの大技。演技終盤、主将の杉本がリボンで描く輪の中に、他の4人がリボンを投げ入れる。杉本は自分のリボンで4本のリボンを束ねて、フロアの逆側で待つ4人に投げ返す。美しい放物線を描いたリボンは広がりながら落下。それぞれを4人がキャッチして演技を締めくくる。4本のリボンを手ではなく、リボンを振り上げて投げ返すのは日本独自。昨年の世界選手権の種目別で成功させ、40年ぶりの銅メダル獲得となった。

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