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王国ブラジル悲願金 ネイマール泣かせた“マラカナンの歓喜”

[ 2016年8月22日 05:30 ]

<ブラジル・ドイツ>PK戦の末に勝利し、歓喜のネイマール(左はGKウェベルトン)

リオデジャネイロ五輪サッカー男子決勝 ブラジル1―1(PK5―4)ドイツ

(8月20日 マラカナン競技場)
 リオデジャネイロ五輪サッカー男子決勝が20日(日本時間21日)にリオデジャネイロのマラカナン競技場で行われ、開催国のブラジルがPK戦の末にドイツを下し、初優勝を飾った。オーバーエージ枠での出場で主将を務めるFWネイマール(24=バルセロナ)は、先制の直接FKを決めると、PK戦でも最後のキッカーとしてネットを揺らし、約6万4000人で埋まったスタジアムを熱狂させた。

 膝をつき、両手を広げて天を仰いだ。チームメートたちが次々と歓喜を分かち合いに来る。押しつぶされる形になったネイマールは、ピッチに突っ伏し、両手で顔を覆い、涙した。「僕の人生の中で最高の出来事の一つだ」。バルセロナでは欧州CLやクラブW杯など数々のタイトルを手にしているが、母国開催の五輪での金メダルは、それに勝るとも劣らない価値があった。

 1―1のまま延長戦に突入。それでも決着がつかずPK戦に突入した。両チームとも譲らず4―4までもつれたが、先行のドイツの5人目、FWペーターゼンのキックをGKウェベルトンがストップ。エースにつないだ。時計回りに大きく弧を描いて助走した後、GKをじらすように動作を遅らせてから、右足でゴール右上に落ち着いて決めた。「(PKを決めることは)僕がしなければいけない唯一のことだった」。前半26分にはゴール左、約23メートルの位置から先制点となる直接FKも決めた。後半14分に今大会初失点を喫したが、文字通り主将が初優勝に導いた。

 順風ではなかった。1次リーグは開幕から2試合連続でスコアレスドロー。まさかの敗退危機。批判はオーバーエージ枠で招集されたネイマールに集中した。サポーターが「背番号10はネイマールよりも女子代表のマルタの方がふさわしい」などと発言し、海外メディアなどもそれを大きく取り上げた。しかし、そこから意地を見せ、本来の力を発揮。ネイマール自身も4得点と気を吐き、4連勝で頂点に立った。「批判にサッカーで応えた。これで黙るだろ」と笑いながら胸を張った。

 因縁の一戦でもあった。ドイツとは2年前、W杯ブラジル大会の準決勝で1―7で敗れた。ネイマールは準々決勝のコロンビア戦で腰椎骨折の重傷を負っていたため、欠場したが、自宅でテレビ観戦し、深く心を痛めた。あれから2年。所属のバルセロナからは南米選手権か五輪か。どちらか1つしか出場許可を得られなかったが、迷わず五輪を選択した。母国で受けた傷は母国で返すしかない。しかも、決勝という最高の舞台での“再戦”。「(優勝という)夢をかなえることができたし、自国で達成できたことはとても誇らしい」。背番号10が約6万4000人の観衆はもちろん、ブラジル全国民の留飲を下げた。

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