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松本銅で伝統守った 男子レスリング15大会連続メダル

[ 2012年8月8日 06:00 ]

銅メダルを獲得し、喜びを爆発させる松本隆太郎

ロンドン五輪レスリング

 伝統は今大会も守られた。6日の男子グレコローマン60キロ級で松本隆太郎(26=群馬ヤクルト販売)が、3位決定戦でケピスパエフ(カザフスタン)にフォール勝ちし、銅メダルを獲得した。グレコローマンのメダルは00年シドニー五輪69キロ級(当時)の永田克彦の銀メダル以来3大会ぶり。52年ヘルシンキ大会から続く男子レスリングの五輪連続メダルを15に伸ばした。

 勝利の瞬間は突然訪れた。昨年の世界選手権銀メダリストとの3位決定戦、1―1で迎えた最終ピリオド。両脇を差した松本が投げを打つと相手はもんどり打って崩れ落ち、背中をマットにつけた。鮮烈なフォール。マット上でのバック宙で喜びを表現し「ここ2~3カ月やってきた技。やってきた努力は負けていないと、自信を持って試合ができた」と胸を張った。

 6月のロシア遠征までともに行動してきた55キロ級の長谷川が、格下に敗れた前日の試合。「びっくりしたけど、勝負は甘くないんだと再確認した。自分はどんな相手でも気を引き締めてやろうと」。初戦の2回戦、3回戦とピリオドを失うことなく勝ち進んだ。だが、準決勝で世界王者ノルージ(イラン)に惜敗。「夢だった金メダルじゃなくなって、終わったかなあと思った」と気持ちは切れかけた。

 だが、立ち上がらなければならない理由があった。フリー84キロ級で五輪出場を逃した弟・篤史(ALSOK)の存在だ。ロンドンには来ない予定だった弟に「勉強になるから」と声を掛けたのは松本。この日の朝、ロンドン入りし、スタンドにいた。幼い頃からともに歩んだ道。「メダルを掛けた僕を見て、うらやましいとか悔しいとかって思って、練習してくれればいい」。16年リオデジャネイロ五輪に向け、最高のエールを送った。

 グレコローマンは上半身だけの攻防で、パワー勝負となるため、フリーに比べ日本には不利とされる。だが「豪快な技がある」と信念を貫いた。52年のヘルシンキ五輪から続く男子レスリングの出場大会連続メダルの伝統を守った男は「レスリングは女子が取り上げられて、男子もフリーが活躍してきた。いい意味で(グレコの)存在を示せたかな」と誇らしげにメダルを触ってみせた。

 ◆松本 隆太郎(まつもと・りゅうたろう)1986年(昭61)1月16日、群馬県生まれの26歳。館林高、日体大を経て、現在は群馬ヤクルト販売に所属。10年世界選手権で銀メダル。広州アジア大会で銅メダル。フリー84キロ級の篤史は弟。1メートル68。

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