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沢、メダル確定に涙…次は“集大成”のリベンジだ!

[ 2012年8月8日 06:00 ]

<フランス・日本>フランスに勝利しメダルを確定させ涙ぐむ沢

ロンドン五輪サッカー女子準決勝 日本2―1フランス

(8月6日 ロンドン)
 なでしこが金メダルを懸けて米国と戦う。FIFAランク3位のなでしこジャパンは6日の準決勝で同6位のフランスに2―1で勝って初の決勝進出、銀メダル以上を確定させた。今大会を集大成と位置づける沢穂希(33=INAC神戸)にとっては、93年の代表デビューから20年目での悲願のメダル獲得。9日(日本時間10日午前3時45分開始)の決勝で、FIFAランク1位のライバルを倒して一番輝くメダルを手に入れる。

 試合後、沢は観客席の最前列に下りてきた母・満寿子(まいこ)さんの元へ向かった。「おめでとう」と祝福され、「いつも来てくれてありがとう」と感謝を伝えた。

 その後、こんな思いを明かした。「次の試合に勝って両親に金メダルをかけてあげたい」。初代表から20年目で手にした悲願の五輪メダル。「サッカー人生で、五輪のメダルは大きな目標だった。うれしい。言葉にならないくらい」と涙を見せたが、まだ色は決まっていない。「人間、欲がある。ここまで来たら一番いい色のメダルが欲しくなった」と切り替えた。

 決勝の相手は米国。北京五輪は4強入りも準決勝で米国に敗れ、最終的にメダルを逃した。通算1勝5分け22敗。米国を倒して金メダル獲得なら最高のシナリオだ。準々決勝後「私が思い描いた通りになってきた」と話したが、舞台は整った。

 フランス戦では献身的なプレーが光った。開始1分、カミソリスライディングでボール奪取。シュート数は5本―27本。終盤は防戦一方になった。「早く終わらないかと思って時計を見たら全然進んでいなかった」。それでも、こぼれ球をクリアし続け、動けない仲間に声を掛け鼓舞した。

 3月に良性発作性頭位めまい症を発症後、満寿子さんと距離を置いた。「心配を掛けたくなかったから、あまり電話をしなかった」。五輪代表入りが決まった時、ようやく「母にも父にも連絡した」。満寿子さんに代表発表の日付(7月2日)が入ったサイン入りユニホームを渡した。それを着た母の前でメダルを確定させた。

 「しっかりいい準備をして金メダルに向けて頑張る」。大きな大会の後には満寿子さん手作りの茶わん蒸しを食べる。だしの効いた優しい味とともに金メダルの喜びをかみしめる。至福のひとときが間もなく訪れる。

 【沢、過去の米国戦】

 ☆アテネ五輪準々決勝(04年8月20日)1点を追う後半3分に山本のFKで追いついたが、その10分後にオフサイドトラップのミスから失点し1―2で惜敗。5月に右膝手術を受けていた沢はフル出場して奮闘した。

 ☆北京五輪準決勝(08年8月18日)女子初のメダルを懸けた大一番で2―4と完敗。大野が先制点を決めた後から4失点。終了間際に荒川が1点を返したが、及ばなかった。沢はフル出場したが、得点には絡めなかった。

 ☆W杯ドイツ大会決勝(11年7月17日)2度リードを許しながら、延長後半12分に左CKから沢の同点弾で追いつき、2―2からのPK戦3―1で制し初優勝。過去の対戦成績で3分け21敗だった米国を初めて破った(記録は引き分け)。

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2012年8月8日のニュース