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大津、豪快先制弾も…初の決勝進出ならず3決へ

[ 2012年8月8日 06:00 ]

<メキシコ・日本>前半12分、先制ゴールを奪い関塚監督(手前)に抱きつく大津

ロンドン五輪サッカー男子準決勝 日本1-3メキシコ

(8月7日 ロンドン)
 金メダルには届かなかった。日本は7日の準決勝でメキシコに1―3で敗れた。準々決勝で左太腿を負傷したFW永井謙佑(23=名古屋)が先発。前半12分、大津祐樹(22=ボルシアMG)のゴールで先制したが、前半31分に今大会初失点。後半20分とロスタイムにも失点した。初の決勝進出は逃したが、10日(日本時間11日午前3時45分開始)の3位決定戦で韓国と銅メダルを懸けて戦う。

 サッカーの母国で、聖地ウェンブリーで、大津の右足がうなりを上げた。前半12分だ。徳永、東とつないだボールをトラップしながら浮かせ、ボールの真芯を叩く。強烈なミドル弾は、約20メートル先のサイドネットに突き刺さった。欲しかった先制ゴールだ。次の瞬間、大津は真っ先にベンチに走った。関塚監督の胸に飛び込み、喜びを爆発させた。

 日本が44年ぶりに臨んだ五輪の準決勝。関塚監督は奇襲を仕掛けた。先発には永井の名前があった。4日のエジプト戦で左太腿を強打、出場は絶望視されていた。前日の練習にも姿を見せなかった。結果的には、メキシコを完全にけむに巻いた。序盤、動揺の見える相手の隙を突いた。マークが永井に偏る。大津の一撃は、その間隙(かんげき)を縫ったものだった。

 茶髪にピアス。今大会で既に3ゴール目となった大津は「チャラ男」を自任する。だがピッチを離れれば心優しき一面を持つ。今年も母の日には兄と一緒に母・由美子さんにバッグを贈った。プレゼントは欠かしたことがない。親元を離れていた東京・成立学園時代にはカーネーションの写メールを送った。ロンドンからはメダルの写メールを送ることを誓っている。

 前半31分、CKから同点弾を許した。開幕以降、鉄壁の守備陣が許した今大会初の失点だった。だが若き侍たちに動揺は見られなかった。メキシコとは因縁で結ばれている。44年前、日本サッカー史にさん然と輝く銅メダルを獲得したメキシコ五輪。3位決定戦で戦ったのがメキシコだ。まさに運命的な対決は、1―1で前半を折り返した。

 悲劇は、後半20分に待っていた。扇原が一瞬の隙を突かれ、ペラルタにボールを奪われ、強烈なミドルシュートを決められてしまった。1点を追う展開となった後半25分には東に代え、長身の杉本を投入。さらに斎藤もつぎ込み攻めの姿勢を強めたが、ゴールを奪えない。逆に後半ロスタイムに失点。1―3で敗れ、初の五輪の決勝進出は夢と消えた。10日の3位決定戦に銅メダル獲得を懸ける。絶対に負けられない戦いが待つ。

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