【ホープフルS】コントレイルVフライト!無傷3連勝でTakeOFF

[ 2019年12月29日 05:30 ]

レースを制したコントレイル(左)。右は2着のヴェルトライゼンデ(撮影・郡司 修)
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 19年の中央競馬を締めくくる2歳G1「第36回ホープフルS」が28日、中山競馬場で行われ、1番人気のコントレイルが無傷の3連勝。今年7月30日に急逝したディープインパクトを父に持つスター候補が誕生した。鞍上の福永祐一(43)は初の2歳G1完全制覇を達成。管理する矢作芳人師(58)はリスグラシューで制した有馬記念に続いて2週連続G1勝利となった。

 青空の中山競馬場。心臓破りの急坂をコントレイルが独走で駆け上がった。今夏に急逝したディープインパクトが有馬記念で衝撃のラストランを飾ってから13年。日本競馬界が偉大なる名馬を失った年のラストG1を、その息子が父に負けない“完勝劇”で締めてみせた。

 好スタートから好位4番手を確保。課題の折り合いは抜群だった。「性格的に燃えやすいところがある馬だけど大丈夫だった。最初のコーナーを上手に立ち回ってくれた」と福永。戦前の不安をよそに楽な手応えで先行勢を追走。4角で持ったまま早々と先頭に並びかけた。「どこまで突き抜けるのだろう」。鞍上は勝利を確信。独走でソラを使ったため、2着馬に詰め寄られはしたが、最後は手綱を抑える余裕さえあった。

 レース後の会見でも陣営の表情は明るかった。2歳G1完全制覇となった福永は「3つしかないからね」と笑い飛ばし、有馬記念(リスグラシュー)に続き2週連続G1勝利の矢作師は「出来過ぎ。帰りは交通事故に気をつけます」と満面の笑み。「道中は“とにかく折り合ってくれ”と願っていた。向正面でこれなら大丈夫だ、と。先週と違って喜びより安どの方が大きい」。1番人気に支持された愛馬の勝利に胸をなで下ろしていた。

 3戦3勝。来春クラシックの最有力候補に躍り出たコントレイルだが、デビューまでの道のりは平たんではなかった。生まれつき球節が弱く、昨冬から約半年、乗り込むことができず。競走馬育成において極めて重要な時期を棒に振った。「それを思えば、この馬のポテンシャルはすさまじい」と矢作師。「私自身も競馬が大好きなので、ワクワクしながらこの馬を育てている。過去の枠にとらわれない馬にしたい」。名伯楽の目にも別格に映っている。

 来春は皐月賞(4月19日、中山)へ直行予定。ホープフルS→皐月賞と連勝した1歳上のサートゥルナーリアと同じ過程でクラシックに挑む。大目標はもちろんダービー(5月31日、東京)だ。

 指揮官は「ディープに似ているが、クラシックで戦うためには馬体重を15~20キロ増やしてほしい」とさらなる成長を期待。福永は「ダービーに向けていい内容、結果になった。スピードが勝っているこの馬にとっては課題は距離だけ。これだけ楽しみなパートナーと一緒にクラシックを戦えるのは、ジョッキーとしてワクワクが止まらない」と力強く語った。

 コントレイルにとってはG1さえも通過点。ディープはこの世を去ったが、また一頭、その名血を継いだスター候補が誕生した。

 ◆コントレイル 父ディープインパクト 母ロードクロサイト(母の父アンブライドルズソング)牡2歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・前田晋二氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズ 戦績3戦3勝 総獲得賞金1億1126万7000円。

 【売上アップ】ホープフルSの売り上げは142億7816万7700円で対前年比115・3%をマーク。中山競馬場の入場人員は4万2062人で同141・3%と大幅アップした。

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